第42回「コンパクト総2階建てQ1.0住宅デザインマニュアル」

公開日:2026.1.16 最終更新日時:2026.1.16

30年以上にわたって在来木造住宅の高断熱・高気密化を研究し、性能とデザインは両立できることを説き続けてきた鎌田紀彦氏。高断熱・高気密住宅の建築コストの適正化にも取り組み、現在、暖房エネルギーが1/2〜1/4で済むような高性能住宅が、普通の人でも十分手の届く価格でつくれるようになっています。 この連載では、氏のこれまでの活動の中で設計した住宅、あるいは氏と共に新住協を支えている会員の設計などを紹介しながら、そこから生まれた新しい技術や、高断熱・高気密住宅ならではのデザイン、計画手法を紹介していきます。

コンパクト 総2階建て住宅の配置計画

コンパクト総2階建て住宅の一番のメリットは、狭小な宅地にも余裕をもって配置できることです。最近の宅地は、道路間口が狭くなり、5~5.5間ぐらいの宅地が地方都市でも増えてきていると聞きます。奥行きは10間程度で面積50坪ほどです。しかしごく最近ではもっと狭いという話もありますし、大都市周辺ではさらに小さい宅地も多いようです。

図1は、宅地の間口が3.0間~5.5間で奥行き10間の北側道路の場合の宅地に、いろいろな寸法の四角形コンパクト総2階建て住宅がどのように配置できるかをまとめたものです。

図1 北側道路の敷地に対するコンパクト総2階建て住宅の配置

敷地境界線から建物外周面の離れを民法上の50㎝として、外壁の断熱厚さ210㎜程度を想定しています。これに北側斜線制限がかかってきますが、建物の高さを抑えたり、いろいろ工夫したりして北側斜線制限にはかからないとして配置しています。  

宅地の間口3.0~4.0間では、駐車スペースを車1~2台分確保するためには、建物を南に約3間寄せる必要があります。従って南側にはほとんど庭が取れないばかりか、南の隣家ともかなり近い関係になります。間口4.5間になると、建物の南北の長さを小さくすることができ、庭も取れるほか、住宅を細長く設計して、住宅と駐車スペースを北に寄せ横に並べて配置もでき、南に庭が取れるようになります。最近の宅地は南東、南西に触れている宅地が多いので、L型の庭が確保されます。間口が5間以上あれば、かなり自由にいろいろな配置が可能になります。

コンパクト総2階建て住宅のいろいろなプラン 

今回の「Q1.0住宅デザインマニュアル」には、第3章に64個の総2階建て住宅のプランが掲載されています。4.0×4.0間総2階建ての延床面積32坪を最大として、それより小さいコンパクト総2階建て住宅です。その中から、いくつかのプランを紹介したいと思います。

図2~図4は、2LDKの21坪~30坪の少し大きめのプランです。図2は1階にサニタリーと2寝室を取り、2階リビングとしたプランで、図3は1階にLDK、2階にサニタリーと2寝室としたプランです。子ども室は一室ですが、21坪の割には各スペースが広く取れています。

図2 3.5×3.0間・21坪・2LDK
図3 3.0×3.5間・21坪・2LDK

図4は、間口2.5間のやはり狭い間口の25坪プランで十分な広さがあります。

図4 2.5×5.0間・25坪・2LDK

2.5×6.0間をプロトタイプとして考えてきたのですが、2.5×5.0間と小さくしても十分にいいプランができるものだと感じた次第です。

図5は、大きなプランで3LDKになっています。

図5 2.0×6.5間・30坪・3LDK

住宅の間口が2間しかなく、宅地の間口4.5間の敷地でも駐車スペースと並べて配置できます。しかもこのプランは南入りでも同じように配置できる面白いプランです。各スペースが広々として予備室も取れています。

図6~図9はさらにコンパクトにして1LDKに割り切ったプランです。

図6 2.5×3.0間・15坪・1LDK
図7 3.0×3.0間・18坪・1LDK
図8 2.5×4.0間・20坪・1LDK
図9 2.0×4.5間・18坪・1LDK

図10に同じくらいの平屋の1LDKプランを参考として並べました。

図10 3.5×4.0間・14坪・1LDK・平屋

このくらいコンパクトになると、平屋に比べて総2階建て住宅は階段室が1階と2階で2坪必要になり、面積的には不利になります。しかし建築面積は、平屋に比べて遥かに小さくなりますから、極狭小宅地でもゆとりを持って配置できます。

ただ、この住宅に住む人を想定すると、高齢者の場合は、やはり階段があることが問題です。若い人で、子どもを持つことは考えていない、少子化の現代を象徴するような家になってしまうことが残念です。ただ子どもができたら、中3階の増築や、カーポートの上に増築したり、敷地に余裕がある場合は普通に増築も可能ですから、建設時の初期費用を抑えるという意味はあると思います。  

総2階建て住宅のプランニングは結構難しいものがあります。一般的に、1階にLDKとサニタリーを配置すると、2階のスペースが余ってしまいます。サニタリーと寝室を同じ階に取り、LDKをもう一つの階にゆったり取ることで、良いプランができるようです。この本に掲載された64プランを参考に、ローコストで高性能な家づくりに取り組んでいただきたいと思います。

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