vol.51 太陽の光で家を明るくしよう
さらなる省エネ・省CO₂が住宅の重要なテーマとなる寒冷地。 本企画は、独自の視点から住宅性能研究の最前線を開いている、東京大学の気鋭の研究者・前 真之准教授に、「いごこちの科学」をテーマに、住まいの快適性能について解き明かしていただきます。 シーズン1に続く第2弾として2015年からは、それまでの連載の発展形「いごこちの科学 NEXT ハウス」としてリニューアル。 「北海道・寒冷地の住宅実例から考える室内環境について」をテーマに、断熱、開口部、蓄熱など、さまざまな視点から寒冷地における室内環境の改善ポイントを解説しています。
北の高窓、明色の天井・壁、吹き抜けが明るい家を実現
暗い部屋・明るい部屋の比較を通し、「北の高窓」「明色の天井・壁」「吹き抜け」の3大アイテムが、明るい家の実現に有効なことが分かりました(図6)。

自然光利用の観点では、安定して天空光を採り入れられる北窓が有利です。特に上方に設ける高窓は、室内空間全体に光を届けるのに特に有効です。高窓は、夏に天井付近にたまった熱気の出口としても役立ちます。
北窓からは日に当たった樹木などがキレイに見えるため、最近はあえて北側に大きな開口を設ける場合が増えています。ただし、冬の日射取得は期待できませんから、トリプルガラス・樹脂サッシにして、できるだけ窓の断熱を確保することは忘れずに。
南窓は付属物で夏冬対応
日本では伝統的に、窓といえば、日当たりのいい南に大きく設けるのが定石でした。もちろん日当たりが確保できる敷地であれば、南窓を大きめに取って冬に太陽の熱を採り入れることは今でも重要です。ただ前述のように、太陽本体からの直達光は強すぎますし、夏場の日射熱は冷房の大敵です。夏場の直達光を防げる程度には、軒・庇の出を確保した方がいいでしょう。
また南窓は冬、日射熱取得に伴うオーバーヒートやまぶしさに備えておく必要があります。内側にハニカムスクリーンなどの付属物を設けることで、太陽の熱と光を調整できます。特に上下に隙間を空けられる2WAYタイプなら、シチュエーションに応じて調整ができて便利です。
窓の上手な設計で住まいを明るく楽しく
最後に、明るい家を実現した事例をご紹介しておきましょう(図7)。

出典:エスワイズ(株)モデルハウス 筆者撮影
大きな南の高窓には軒とハニカムスクリーンを組み合わせ、直達光を抑えながら天空光を高方より採り入れています。明色の天井・壁と吹き抜けありの開放プランと相まって、南窓、北窓からの天空光が空間全体に広がっています。輝度分布からも、光が空間全体に広がっていることが分かります(図7左)。
最近の住宅は昼間から照明がついていることが多いように感じます。確かに、現在の主流であるLED照明はエネルギー効率が高く、白熱灯や蛍光灯とは違って、こまめに切る必要はありません。とはいえ、窓からの自然光の気持ちよさも大事にしたいものです。
筆者は住宅を見学させてもらうときには、なるべく照明を落としてもらい、自然光だけで空間の雰囲気を感じるようにしています。窓から採り入れた自然光が室内に広がっていく様子を確認することができ、照明がついているときとは違った感覚を楽しむことができるのでオススメです。
最近では断熱性能確保やコスト削減が優先されるあまり、窓の大きさや数が減らされる傾向にあります。一方で、窓は建築の魅力が詰まった最重要パーツ。上手に活用することで、明るく楽しい住まいを実現したいものですね。
今回は、自然光だけで明るく感じられる家づくりを考えてみました。実例を通し、「北の高窓」「明色の天井・壁」「吹き抜け」の3大アイテムを使いこなせば、明るく感じられる家を実現できます。家族みんながずっと明るく楽しく暮らせる、魅力ある家づくりの参考になれば幸いです。
連載「いごこちの科学 NEXT ハウス」バックナンバーはこちら。
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