【プロが教える】使いやすい「造作カウンター」のプランのコツ
Replanが教える家づくりに必要な基本、あれこれ。
目次
- 1.使い勝手を決定づける「寸法(奥行き・高さ・幅)」の基本ルール
- ①「奥行き」は用途によって決まる
- ②「高さ」の基本と「イスの差尺(さじゃく)」の考え方
- ③ 使いやすい造作カウンターの高さ(目安)
- ④ 両側に壁がある造作カウンターは、最低でも幅90㎝はほしいところ
- 2. 造作カウンター設置のアイデアと注意点
- 【パターンA】 リビングやダイニングの一角につくる「ワークスペース」
- 【パターンB】 キッチン対面カウンター(朝食/カフェ・バー)
- 3. 後悔しないための「コンセント&収納」のアイデア
- コンセントの位置
- コンセントの数
- 「配線孔(はいせんこう)」の開け方
- カウンターの収納計画
- 4. 「造作カウンター」でよくある3つの失敗と回避策
- 失敗①:仕事のPC作業をするには奥行きが足りず、使いにくい
- 失敗②:物を置く台になって雑然とし、有効活用できていない
- 失敗③:ダイニングテーブルと高さが違い、イスを使い回せない
- 5. まとめ
新築やリノベーションで人気の「造作カウンター」。空間にぴったり合わせてつくれるのが魅力ですが、一度設置すると簡単に取り替えられないため、事前の寸法計画や用途設定が使い勝手を大きく左右します。
「せっかくつくったのに使いにくい」「いつの間にか物置き場所になってしまった」と後悔しないために、使い勝手を決定づける「寸法(奥行き・高さ・幅)の基本ルール」や設置アイデア、配線・収納計画、よくある失敗と回避策をインテリアコーディネーターの本間純子さんに解説していただきます。

1.使い勝手を決定づける「寸法(奥行き・高さ・幅)」の基本ルール
造作カウンターを計画する際は、何をするのか、どのように使うのか、何を置くのかといった「使い方」「動き」「道具」に合わせた寸法設定が欠かせません。
①「奥行き」は用途によって決まる
カウンターの奥行きは、用途に合わせて検討します。
| 奥行き寸法 | 主な用途・特徴 |
| 20〜30㎝ |
飾り棚・スマホ充電場所・読みかけの本の仮置き場 など ・奥行きが狭いので、旅行の思い出の品やフォトフレームなど、お気に入りの小物を飾るスペースとして最適 |
| 40〜45㎝ |
ノートパソコン・宿題などの長時間の作業 ・作業をするのに十分使える寸法ではある |
| 60〜65㎝ |
デスクトップパソコンが置ける・本格的な事務作業 ・パソコン本体と書類を同時に広げられるゆとりのある奥行き寸法 |
②「高さ」の基本と「イスの差尺(さじゃく)」の考え方
「これまで使っていたダイニングチェアが、高さが合わなくて新居の造作カウンターで使えなかった」。そんな失敗を防ぐには、カウンターの高さとイスの座面高の差である「差尺(さじゃく)」をあらかじめ確認することが必要です。
手持ちのイスが使えるカウンターの高さは、以下の計算式で求められます。
| イスの座面高+差尺(27〜30㎝)=適正なカウンターの高さ |
※「差尺」についてはこちらの記事をご参照ください。
▼家具選びの参考に。「ダイニングセットの寸法」の基本
https://www.replan.ne.jp/articles/26102/
③ 使いやすい造作カウンターの高さ(目安)
高さ 70〜72㎝【一般的なテーブル・デスクと同じ】
一般的に日本で販売されているダイニングテーブルやデスクの高さは70㎝前後。チェアの多くはそれに合わせて座面高40㎝前後で設計されているので、造作カウンターも70㎝前後にしておくと、合わせるイスの選択肢が増えます。微妙な差尺の調整には、昇降式チェアが役立ちますね。

高さ 85〜100㎝【ハイカウンター】
立ち作業、もしくは、ハイスツール(座面高50〜60cm)に腰かけて使うのに適した高さです。目線が高くなるので、景色のいい窓辺のカウンターなどで使うと気持ちいいでしょう。ハイスツールは座面が高いため、立ち座りがしにくく不安定なのがデメリット。子どもや高齢者には注意が必要です。
④ 両側に壁がある造作カウンターは、最低でも幅90㎝はほしいところ
飾り棚として使うカウンターの幅寸法は、使い勝手にあまり影響しませんが、仕事や宿題など「作業スペース」の使用を前提とする際には「使い勝手のよさ」が重要になります。
造作カウンターは、側面に壁がある場合とない場合があります。

通常は幅が60cm程度あれば食事にも作業にも支障はありません。しかし両側に壁がある場合の60㎝幅は意外と窮屈で、作業をすると腕の動きが制限されます。
両側に壁がある造作カウンターの場合は、少なくとも90㎝はほしいところ。ゆったりと使うなら100㎝あるとよいでしょう。2人で並んで使う想定なら、130〜180㎝はみておきたいですね。


2. 造作カウンター設置のアイデアと注意点
カウンターを設置する場所や、シチュエーションに応じた具体的なプランニングのポイントを見ていきましょう。
【パターンA】
リビングやダイニングの一角につくる「ワークスペース」
LDKの一角に、ワークスペースとして造作カウンターを設ける間取りは、今の住宅でかなり一般化しています。だからこそ、単なる物置き場にならないよう、使いやすくデザインすることが重要です。

■配置とサイズ
リビング階段の下やダイニングの窓辺など、LDKに確保できる余剰空間にレイアウトします。カウンターは高さ70㎝✕奥行き60㎝で造作できると、既製品のデスクワゴンが収まり、複数人での共用や、子どもの成長に合わせた用途の変化などに柔軟に対応できます。
■上手な使い方のアドバイス
子どもの遊び場や勉強場所、大人の仕事場や事務スペースとして機能すると、その分散らかりやすくなりますが、LDKの一角で目立つので雑然とするのは避けたいところ。
ワークスペースはあくまで「作業するときだけの仮スペース」と捉えて、物を置きっぱなしにせず、子ども室など各自の部屋や所定の収納場所に戻すよう心がけましょう。「LDKはプライベートルームではない」ことを、家族の習慣にすることがポイントです。
【パターンB】
キッチン対面カウンター(朝食/カフェ・バー)
キッチンに造作の対面カウンターを設ける場合は、使う時間帯やシーンによってふさわしい寸法を検討する必要があります。
■朝食用の場合|手早い動線と体に負担のない食事環境

あわただしい朝、家族が時間差でとる朝食の場として対面カウンターは大活躍。配膳や片付けの動線がスムーズで、キッチン側のつくり手と会話を交わしながらコミュニケーションをとれる貴重なスペースになります。
- おすすめの寸法:
奥行き40㎝✕高さ70㎝程度(一般的なダイニングテーブルと同等) - 椅子の選び方:
足の裏が床につく、座面が固めの椅子がおすすめ。足を床につけて安定した姿勢で食べるとしっかりと咀嚼(そしゃく)でき、消化を助ける効果があります。
■カフェ・バー用の場合|昼のくつろぎと夜のムードを両立する高めの設定

キッチン天板と高さをそろえたハイカウンターは、昼間は友人を招いて淹れたてのコーヒーやスイーツを楽しむおうちカフェ、夜はくつろぎながらお酒を味わう大人のバーカウンターとして空間を演出できます。
- おすすめ寸法:高さ85(キッチンの天板高と同等)〜100㎝
-
椅子の選び方:カウンター面の高さに合わせて座面高55〜70㎝のハイスツールやハイチェアを組み合わせましょう。足置き場のあるイスを選ぶと、長時間でも座っていやすいです。
3. 後悔しないための「コンセント&収納」のアイデア
造作カウンターまわりは機器類が集まりやすく、配線や収納の事前計画が使い勝手の良しあしを左右します。
使いそうな機器類の事前のリストアップが肝心。wifiルーターや固定電話などを含め、接続が必要な手持ちの機器やアダプターの数を確認しておきましょう。掃除機の充電、除湿機、空気清浄機など、近くで使う可能性のある家電の洗い出しも必要です。
コンセントの位置
家電製品は増える傾向にあります。プラグの抜き差し頻度に応じた設置場所の工夫がポイントです。
| 設置場所 | 想定する用途 |
| カウンター上 | ・日常的にプラグを抜き差しする家電用 ・電源ケーブルごと持ち歩くノートパソコン用 |
| カウンター下 | ・常に差した状態にしがちな機器用 (デスクトップパソコン、プリンター、デスクライト、スマホ、タブレット、シュレッダーなど) |

コンセントの数
2個口のコンセントを3〜4ヵ所(差し込み口は計6〜8ヵ所)に分散して設置しましょう。1つの大きなプレートにまとめるのはNG。大きな変換アダプターが隣の差し込み口をふさいでしまうのを防ぎます。
「配線孔(はいせんこう)」の開け方
配線孔とは、カウンター天板からケーブルを引き出すための穴のことです。通常はプラスチックやシリコン、金属などのキャップを被せ、そのスリットや小さな穴からケーブルを通します。

- 私が提案したおすすめの加工方法:
カウンターの壁際に幅10㎝×奥行き3㎝ほどのスリットを開ける方法。ケーブルが機器類の背後を通るため存在感が抑えられ、スリット自体も目立たないため好評でした。
カウンターの収納計画
カウンター上の収納棚:
カウンターで使うパソコンやデスクスタンドの大きさを、事前に確認しましょう。機器に干渉しない高さに取り付けると、ストレスなく使えます。

カウンター下の収納(奥行き45㎝程度の場合):
座った際に足先が壁に触れる可能性があります。イスや足の入るスペースを慎重に考慮して、収納を計画する必要があります。
カウンター下の収納(奥行き60㎝以上の場合):
既製品のデスク用ワゴンやファイルワゴンが収まります。固定の棚や引き出しを造作することも可能ですが、使い方が限定されやすいため、最初からつくり込まずに既製品の収納を柔軟に選ぶのがおすすめです。

4. 「造作カウンター」でよくある3つの失敗と回避策
造作ものは、取り外しや移動が簡単にはできません。ここではよくある3つの失敗例と回避策をお伝えします。
失敗①:仕事のPC作業をするには奥行きが足りず、使いにくい
- 回避策:
日常のパソコンの使い方を細かくチェックしましょう。パソコン本体だけでなく、マウス、マウスパッド、ノート、資料、メモ、筆記具、スマートフォンなど「何をどこに置いているか」「それぞれのサイズはどれくらいか」「現状使いにくい部分はないか」を記録します。現在の作業環境を写真で撮影しておくと、設計士やインテリアコーディネーターに正確に伝えやすくなります。スペースにゆとりがあれば、計画段階で奥行きを広げることが可能です。

失敗②:物を置く台になって雑然とし、有効活用できていない
- 回避策:
まずは「計画段階で、造作カウンターの使用目的を明確に定めること」が重要です。使い方のイメージがないままになんとなく取り付けると、中途半端で使いにくいものになりがちです。もし物置き場になってしまったら、一度カウンターの上のものをすべて移動させ、置かれるものを観察してみましょう。「なぜそこに物を置いてしまうのか」の根本的な理由が見えてきます。

失敗③:ダイニングテーブルと高さが違い、イスを使い回せない
- 回避策:
ダイニングの一角に造作カウンターのワークスペースを設けた際、ダイニングテーブルとカウンターの高さが違うと、それぞれに専用のイスが必要になります。しかしスペースに余裕がない家では特に、ダイニングチェアをワークスペースでも使えたほうが便利で省スペース。造作カウンターの高さは、イスとの兼ね合いも考慮して決めるとよさそうです。

5. まとめ
造作カウンターは、つくり替えが容易ではありません。用途に合わせて寸法を正しく設定することが、長く快適に使い続けるための鍵となります。
いつの間にか物置きスペースになってしまわないよう、家族のライフスタイルや使う機器をしっかり洗い出し、インテリアコーディネーターなどのプロに相談しながら、ご自身の家に最適なカウンターづくりを目指しましょう。

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