vol.51 太陽の光で家を明るくしよう
さらなる省エネ・省CO₂が住宅の重要なテーマとなる寒冷地。 本企画は、独自の視点から住宅性能研究の最前線を開いている、東京大学の気鋭の研究者・前 真之准教授に、「いごこちの科学」をテーマに、住まいの快適性能について解き明かしていただきます。 シーズン1に続く第2弾として2015年からは、それまでの連載の発展形「いごこちの科学 NEXT ハウス」としてリニューアル。 「北海道・寒冷地の住宅実例から考える室内環境について」をテーマに、断熱、開口部、蓄熱など、さまざまな視点から寒冷地における室内環境の改善ポイントを解説しています。
輝度は目に飛び込む光。輝度分布が明るさ感を決める
明るさの指標にはもう一つ、「輝度」があります。こちらは、我々の目に飛び込んでくる光の量を表します。実は、我々が感じる明るさを決めているのは、この視界における輝度の分布なのです。ここでは岩崎電気が公開しているスマホ用アプリ「QUAPIX Lite」を使って、照度と輝度の分布を実際に測ってみましょう。
次に伝統家屋と写真館を例に、明るさを比較してみましょう。上は伝統家屋で、昼間でもかなり暗く感じられます。一方、下の写真館は撮影所として使われていた部屋です。照明なしでも撮影できるように、北側の大きな窓から採り入れた天空光が、吹き抜けの空間全体にあふれており、非常に明るく感じられます。この2室の照度(図5上部)と輝度(図5下部)を測りながら、暗さ・明るさの原因を考えてみましょう。





出典:「江戸東京たてもの園 吉野家(農家)」「江戸東京たてもの園 常盤台写真場」筆者撮影

暗い部屋3つの原因
まず伝統家屋において、床面の照度を測ってみましょう。20ルックスと非常に低い照度となっており、本を読むのも難しいほどの暗さです。窓や扉など開口部の位置が低いため、採り入れた光が空間全体に広がりません。また室内の表面、特に天井・壁が暗色で光を吸収してしまうため、光が室内全体に拡散されないのです。内部が細かく間仕切りされていることも、光の広がりを邪魔しています。
次に、輝度分布で見ると、上部が青く低い値となっています。暗色の天井が光を吸収してしまい、目に光が届いていないのです。一方、低い位置の開口部からの光は目に届くので、視界の中での輝度のムラが大きくなっています。
人間の目は輝度が一番高いところに合わせて調節されるので、輝度ムラが大きいと低輝度の部分をさらに暗く感じてしまいます。どうやら、暗い部屋の原因は、「低い窓」「暗色の天井・壁」「間仕切り」にありそうです。
明るい部屋3つの理由
一方の写真館では、北側の大きな窓から天空光がたっぷり採り入れられています。床面の照度は、伝統家屋の実に200倍以上となる5100ルックス。輝度分布をみても、視界の全体から光が目に届いていることが分かります。とりわけ高窓からの天空光が、上から空間全体に広く降り注いでいます。「北の高窓」は、明るい家を実現するために特に重要なアイテムなのです。
加えて、写真館は天井・壁の内装が白の明色なので、採り入れた光が適度に反射されます。また、吹き抜けた開放的な空間により、光が遮られず空間全体に広がっています。さすがに住宅としてはちょっと明るすぎですが、明るい家のヒントを見つけるには最高の事例といえるでしょう。
Related articles関連記事
【プロが教える】使いやすい「造作カウンター」のプランのコツ

























