今回は建築とスイーツを一度に味わうことのできる場所を紹介します。フィンランドを代表する建築家アルヴァ・アアルト(1898–1976)が設計した、Sähkötaloサフコタロです。ヘルシンキ市中心の地下鉄カンピ駅に直結しています。1973年に完成した電力会社のオフィスビルで、現在1階は「ロバーツコーヒー」というカフェになっているんです。

Sähkötaloサフコタロ
もともと電力会社のオフィスとして設計。ヘルシンキ市中心の地下鉄カンピ駅に直結している

アアルトの作品には天窓がよく用いられます。日照時間が極端に短い冬のフィンランドを明るく照らす工夫で、天窓と照明の組み合わせもアアルト建築の特徴です。壁のタイルにもご注目。この縦長タイルはアアルトの典型的なモチーフで、他の作品でも多く見られます。

小さな三角屋根が連なったような天窓と照明の組み合わせが、明るく心地よい空間をつくる
小さな三角屋根が連なったような天窓と照明の組み合わせが、明るく心地よい空間をつくる

タイルひとつひとつは意外と大きなサイズ。深いブルーが美しい
タイルひとつひとつは意外と大きなサイズ。深いブルーが美しい

そんな贅沢な空間をゆったり味わいながら、いただいたフィンランドならではの季節のスイーツが、以前の記事でもご紹介したフィンランドのお菓子「ルーネベリタルト」

今時期ならではのフィンランドのスイーツ「ルーネベリタルト」
今時期に食べるフィンランドのスイーツ「ルーネベリタルト」

2月5日までの限定スイーツで、今シーズン初めてです!が、実は今回のいちばんの目的はルーネベリタルトではなく、「ラスキアイスプッラ」でした…。「ラスキアイスプッラ」は、ルーネベリタルトと同様フィンランドの伝統的な季節限定お菓子で、イースターの7週間前に食べるとされています。下の写真は先週他のカフェでいただいたときに撮ったものです。甘いパンに生クリームが挟まれていて、その上にアーモンドペーストまたはジャムが加わります。

イースターの7週間前に食べる、フィンランドの伝統的なお菓子「ラスキアイスプッラ」
イースターの7週間前に食べる、フィンランドの伝統的なお菓子「ラスキアイスプッラ」

甘いパンに生クリームとアーモンドペーストやジャムがたくさん挟み込まれている
甘いパンに生クリームとアーモンドペーストやジャムが、ぎっしり挟み込まれている

今年のイースターの7週間前というと3月5日。カフェによってはすでに販売しているところもありますが、ロバーツコーヒーではまだこれからということで、残念ながら次回のお楽しみです。

アアルト設計の建築を見学できる場所はヘルシンキにもいくつかありますが、ここでは座ってゆっくりその空間を味わえます。さらに季節限定スイーツを気軽にいただけるというのは、アアルト生誕の地フィンランドならではの、何とも贅沢な時間です。