実はとても便利かも?「小上がり和室」の実例・アイデア集

公開日:2019.2.26 最終更新日時:2026.2.25

Replanが教える家づくりで参考にしたいアイデアの数々。

LDKは家族がみんなで、一番長く過ごす場所。だからこそ、プランニングでも「どんなかたちがいいのかなあ…」と悩みは深いことでしょう。LDKを有効に使うアイデアはいろいろ考えられますが、根強い人気を誇るのが「小上がりの和室」です。

最近は和紙畳など新素材の畳が普及していて、デザインの幅も広くなったり、何より多目的に使える便利さが見直されて、畳のスペースを取り入れるお住まいも少なくありません。そこで今回は「小上がりの和室」に注目して、そのメリットと注意点を、実例とともに紹介します。

「小上がり和室」が選ばれる3つの理由

1. 立体感のある空間づくり(ゾーニング効果)

リビングの一角に段差を設けることで、壁で仕切ることなく空間をゆるやかに分ける「ゾーニング」が可能になります。フラットな和室に比べて視覚的な奥行きが生まれ、LDK全体にリズムと個性をもたらします。縁なしの畳を選ぶことでモダンなインテリアとも調和し、雰囲気を損ないません。

2. デッドスペースを活かす「大容量の床下収納」

小上がりの最大の実用的なメリットは、段差部分をまるごと収納スペースにできる点です。引き出し式ならお子様のおもちゃや日用品を、跳ね上げ式なら季節物の布団やスーツケースといった大きなものを収納できます。リビングに収納家具を置く必要がなくなるため、結果として居住スペースを広く使うことができます。

3. 多目的な「座る・寝転ぶ」くつろぎスペース

小上がりの段差は、椅子のように腰掛けるのにちょうど良い高さ(35〜40cm程度)に設定されることが多く、ソファ代わりのベンチとして活用できます。また、床から一段高い位置にあるため、ホコリが舞い上がりにくく、小さなお子様のお昼寝スペースや、家族のちょっとした休憩スペースとしても衛生的かつ快適に使用できます。

小上がり和室の「サイズと高さ」の正解は?

小上がり和室を検討する際に迷うのが、小上がりの「高さ」と「広さ」。「段差を何センチにするか」「何畳が使いやすいか」について、後悔しないための基準を解説します。

おすすめの段差(高さ)は?

小上がりの「高さ」は、生活の快適さだけでなく安全性にも直結します。

■20cm:圧迫感を抑え、安全性に配慮した高さ

天井が低い住宅や、リビングをできるだけ広く見せたい場合には20cm程度の低めの設定がおすすめです。上り下りがしやすく、空間の圧迫感も少なくなります。ただし、床下収納の容量は限られますし、椅子として腰掛けるには少し低く感じる点に注意が必要です。

■35cm〜40cm:椅子としての快適さと収納力を両立

この寸法は多く採用されています。一般的なダイニングチェアの座面とほぼ同じ高さで、腰掛けるのに最も適しています。立ち座りが楽なので、リビングのサブソファとしても大活躍。また、この高さがあれば、床下に十分な深さの収納スペース(引き出しなど)を確保できます。

理想的な広さは?

3畳ほどの広さのオープンな小上がり
3畳ほどの広さのオープンな小上がり

用途に合わせて最適な畳数を選ぶことも大切です。

■3畳:コンパクトながら多目的に使えるキッズ・趣味スペース

リビングを圧迫せずに設けることができるサイズです。お子さんの遊び場やお昼寝スペース、あるいは壁面にデスクを置いてワークスペースとして活用するのに十分な広さです。「和室が欲しいけれど、リビングの広さも確保したい」という方に最適です。

■4.5畳:独立した「部屋」としても機能する万能サイズ

4.5畳の広さがあれば、来客時の寝室として利用したり、洗濯物をたたむ家事スペースにしたりと、活用の幅がぐんと広がります。2人分の布団を敷くことができるため、将来的に寝室として使う予定がある場合や、親族や友人が泊まりに来る機会が多いご家庭はこの広さを確保しておくと重宝します。

後悔しないためのチェックリスト

憧れの小上がり和室ですが、設計段階で見落としがちなポイントがいくつかあります。後で「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、以下の3点を必ずチェックしておきましょう。

check.1 バリアフリーの検討:長期的な視点での安全性

小上がりの最大の懸念点は、やはり「段差」です。若いうちは気にならなくても、高齢になった際や小さなお子さんがいる家庭では、転倒のリスクが伴います。ステップ(踏み台)を設置して使ったり、将来撤去可能なつくりにしておくなどの工夫があると安心です

check.2 天井高の確認:居住時の圧迫感に注意

小上がり和室を設けると、床を高くする分、天井までの距離は短くなります。一般的な住宅の天井高(2400㎜程度)で40㎝の小上がりを作ると、和室部分の天井高は2m以下になり、立ち上がった際に圧迫感を感じることがあります。

天井までの距離感が気になりそうであれば、吹き抜けのあるリビングに設置したり、和室部分の天井を折り上げ天井にするなど少し高めに設計するなどの対策を検討しましょう。

chack3. お掃除ロボットの動線:自動清掃の限界

便利で家庭での導入が一般化しているロボット掃除機ですが、20〜40㎝もの段差は自力で乗り越えることができません。小上がり和室を採用した場合、ロボットが自動で掃除できるのはフローリング部分のみとなり、和室部分は手動で掃除機をかけるか、ロボットを持ち上げて置く必要があります。「家全体の掃除を自動化したい」と考えている方は、この手間を許容できるか事前に検討しておきましょう。

取材先の実例写真に学ぶ。小上がり和室のアイデア集

①幼いお子さんの見守りに最適なレイアウト

この場所なら、家事をしながら、お子さんの様子を見守ることができて安心
小上がりがこの場所だと家事をしながら、お子さんの様子を見守ることができて安心

取材先でよく耳にするのは「畳だと床がやわらかいので遊ばせやすいし、小上がりにしておくと家事をしながら、子どものお昼寝や遊ぶ様子が見えやすいから」というお施主さんの声。

キッチンやリビング・ダイニングから見通しのいい場所にレイアウトすれば、いつでも視界の隅に見えていて安心です。段差が床から40㎝ほどある小上がりにすると、椅子のようにも使えて、家族や友人がたくさん集まったときに重宝します。

 

LDKの一角に4.5畳の小上がり和室を
LDKの一角に4.5畳の小上がり和室を
小上がりからは、ダイニング・キッチンもリビングもよく見渡せる
小上がりからは、ダイニング・キッチンもリビングもよく見渡せて、お子さんも安心感が持てる

② 小上がり和室の下を「収納」に

小上がり和室の下は、収納スペースとしても大活躍!収納力に優れるので、お客様用の寝具やこたつ布団など「頻繁には使わないけれど、収納しておくにはかさばる」というものをまるっと収納しておくことができます。デッドスペースを有効に使えるアイデアです。

リビングに併設した3畳の小上がり和室。畳の下は、大きな引き出し3つ分の収納スペースに
移動できる間仕切りを組み込んだ小上りしたの引き出し。かなりの量が収納できる
移動できる間仕切りを組み込んだ小上りしたの引き出し。かなりの量が収納可能
小上がりの高さが低めでも、収納スペースをつくることは可能
小上がりの高さが低めでも、収納スペースをつくることは可能。襖紙のデザイン次第で、シンプルナチュラルな空間にも合わせられる

③「フローリング✕畳」のハイブリッドで機能性UP

小上がり和室の中には、一部をフローリングにするパターンもあります。リビングに併設して小上がり和室をプランニングしたこちらのお住まいでは、畳は2畳分だけ。畳のまわりをフローリングにしたので、畳の凹みを気にすることなくタンスを置けるのがポイントです。

2畳分だけを畳にした小上がり
2畳分だけを畳にした小上がりは、お子さんたちの遊び場にも。階段下のアール型の空間は「子どもたちの隠れ家」

明るいナチュラルテイストなこのお住まいでも、小上がり和室を採用。フローリング部分に置かれているのは…ピアノ!このように家具などの重いものを置きたい場合は、小上がり和室を「フローリング」と「畳」のハイブリッドにするのがおすすめです。

ナチュラルなデザインのこちらのお宅でも小上がり和室を採用。一部をフローリング敷きにして、ピアノを置いた
ナチュラルなデザインのこちらのお宅でも小上がり和室を採用。一部をフローリング敷きにして、ピアノを置いた

④色・かたちで遊んで、個性を演出

最初にも少し触れたように、最近は畳を取り巻く状況も変わってきていて、いわゆる「和室」のイメージとは異なる空間をつくることもできます。

「カッコイイ空間にしたい」とデザイン重視の家づくりを希望していたこちらのお住まいでは、小上がり和室にダークグレー色の畳を採用。デザインされた床の間やレッドシダーで仕上げた天井などで構成された空間は、もはや「和室」とも言い難いモダンさです。

リビング・ダイニングに併設した小上がり和室は、もはや和室とは思えないモダンな空間に
リビング・ダイニングに併設した広い小上がり和室は、もはや和室とは思えないモダンな空間。小上がりの下には、大きな収納スペースも確保
アールを用いてデザインされた床の間はシックな仕上がりに
アールを用いてデザインされた床の間はシックな仕上がりに

北欧デザインが好きな奥さんのテイストに合わせて提案されたのは、壁がアールの小上がり和室!3連の縦長窓がついた半円形の小上がり和室は、子どもたちの遊び場や客間として使われているそう。襖紙も北欧らしいデザインで、和のデザインと北欧のデザインが近しいものであることを感じさせます。

北欧デザインと調和させた、新しいデザインの小上がり和室
北欧デザインと調和させた、新しいデザインの小上がり和室

 


家の中に、気軽にごろごろ寝転がれる場所があるというのは、思いのほか快適で、使い勝手がよかったりします。暮らし方にマッチすればいろんな使い方ができる小上がり和室。ですが、造作の手間が増えたりして建築コストがアップすることは考えられるので、興味がある方はぜひプランニングの際に、設計士さんや建築会社さんに相談してみてください。

(文/Replan編集部)

こちらも併せてご覧ください↓
ジャパンディスタイルにもぴったり。「障子」の基本と使い方アイデア
1000年続く日本の超ロングセラー建具、「襖」の基本
日本の暮らしにフィットする。今、改めて見直したい「畳」の基本

Related articles関連記事