業者まかせで大丈夫?高効率給湯機はきちんと指名買い!

それにしても、2001年というのはもう10年以上も昔です。今どき業者まかせにしておけば、高効率な給湯機が勝手に入っているんじゃないの?と思ったら少し甘いかもしれません。筆者らが2009年以降に新築した人にアンケートをとったところ(図7)、電気系はほとんどが高効率なエコキュートでしたが、ガス系は半分が低効率な従来型でした。

残念ながら、わずかな初期コスト削減のために古い低効率な機種を入れてしまう業者はいるようです。余計なガスや電気代を払わないために、給湯機は高効率機種をきちんと「指名買い」が必要です。

図7 2009年以降の新築住戸における給湯機の種類
図7 2009年以降の新築住戸における給湯機の種類
筆者らがここ5年間に新築した住戸をウェブアンケートで調査した結果です。電化住宅においては、その多くがエコキュートになっているようです。一方でガス給湯機については、特に地場工務店で従来型の割合が大きくなっています。ちゃんと省エネ型が選ばれるよう、クライアントが設計者にしっかり要求することが必要です。

給湯機のエネルギー消費はいかほど?

前述の省エネ基準では、「4人家族なら湯消費1日450L」というように使い方をそろえた上で、給湯機の効率を勘案してエネルギー消費を推定した「計算値」を扱っています。それでは本当の家での実態はどうなっているのでしょうか。実住宅での調査事例から、1次エネルギーと光熱費を給湯機の種類ごとに示しました(図8)。

図8 給湯機の種類別、1次エネルギー消費と光熱費の比較(2012年)
図8 給湯機の種類別、1次エネルギー消費と光熱費の比較(2012年)
筆者らの全国2000件のWEBアンケート結果です。世帯構成や住戸面積が異なるので単純な比較はできない「参考値」です。しかし、給湯機の種類ごとに電気やガスのエネルギー比率やコストが大きく異なる傾向は十分見てとれます。

それぞれ世帯人数や床面積・建物仕様が異なりますから、単純な比較はできません。ですが、電気とガスの比率、深夜電力の1次エネやコストを見れば、大まかな傾向は見て取れると思います。特に電気温水器は1次エネがかなり多いにもかかわらず、安価な深夜電力のおかげで省コストになっています。これでは給湯の省エネが意識されないのも当然です。

図8の結果から、用途を推定したものを図9に示します。従来型ガスよりエコジョーズ、電気温水器よりエコキュートの方が省エネになっている傾向がハッキリ見て取れます。なおこの調査は2012年に実施されたので、電気・ガス代が上昇している昨今では状況が変化しています。どんどん使っていいエネルギーは日本のどこにもないということを、われわれ一人一人が認識すべきでしょう。

図9 給湯機の種類別・用途別1次エネルギー消費の推定結果(2012年 関東・近畿のみ)
図9 給湯機の種類別・用途別1次エネルギー消費の推定結果(2012年 関東・近畿のみ)
筆者らの全国2000件のWEBアンケート結果です。世帯構成や住戸面積が異なるので単純な比較はできない「参考値」です。しかし、給湯機の種類ごとに電気ガスのエネルギー比率やコストが大きく異なる傾向は十分見てとれます。

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