私がフィンランドに住み始めて9年が経ちました。日本ではあまり知られていなくて、想像するのが難しいかもしれませんが、フィンランドの冬には、実際に長年住んでみてわかった楽しさと大変さがあります。

まずは、楽しいこと。それは「冬の海上散歩」です。冬になるとなんと海が凍って、その上を散歩することができるんです。この写真の人が歩いているところは、すべて海の上!氷点下の日が続いて、しっかりと厚い氷が張るとこのように歩くことができます。

写真手前の一段下がったところからが、海

ちなみにこの写真のように一部だけ凍っている状態は危険なので歩けません…。人はそれなりに集っていますが、さすがに誰も海の上には出ていないですね。

次に、大変なこと。私は昔、札幌に住んでいたことがあるので、雪については特に大変だと思いませんでした。札幌のほうが、ずっと積雪量が多かったです…。

大変なのは「暗さ」です。北欧は日本に比べてずっと緯度が高いので、冬は太陽が昇るのが遅く、沈むのが早いです。そのうえ天気が曇りの日が多くて、太陽を見ない日がけっこう続きます。

↓このようなグレー色の空が、フィンランドの冬の日の標準。

↓この日の空はやや明るいグレー色でした。これでもフィンランド的に見ると、晴れている方です。

ですので、たまに雲ひとつない晴天になると、本当に嬉しくて思わず何枚も写真を撮ってしまいます。そういう日は、私と同じように写真を撮っているフィンランド人をよく見かけます。同じ気持ちなんですね。たとえ冷え込みが厳しくても、太陽が出ている日はみんなこぞって外へ出て散歩しています。

こういう晴天の日は、フィンランドの冬では珍しい

フィンランドを代表する建築家、アルヴァ・アアルト(1898–1976)が設計した建物には、天窓がとても多いです。例えば以前の記事で紹介したSähkötaloサフコタロにも天窓があります。 

アアルトが設計した「Sähkötalo(サフコタロ)」にも印象的な天窓がデザインされている

いくつもの冬を過ごした今、フィンランドの建築に天窓をつけたアアルトの気持ちが、心からわかるような気がします。