電気代が3割アップ

電力量1kWhあたりの燃料費調整額をグラフ5、毎月260kWhの電気を使う平均世帯での電気代をグラフ6に示しました。

グラフ5 燃料費調整額(電力量1kWhあたり 東京電力)
グラフ6 平均世帯(月の消費電力量260kWh 東京電力)の電気料金

いずれも、東京電力の従量電灯B(規制料金)の場合です。電気代が最低だったコロナ禍の2021年1月から、2022年6月に過去最高値までの上昇分は、1kWhあたり8.17円、月々では2,246円の上昇で3割以上のアップとなっています。

「自由料金」なら燃料調整額は天井知らず

従来からある従量電灯Bなどの「規制料金」は、この燃料費調整額に上限が設けられています。一方、2016年から始まった電力小売り自由化後に設けられた「自由料金」では、上限がありません。最近では燃料費調整額の上限を撤廃する動きが、新電力を中心に広がっています。燃料の高騰の影響が、よりダイレクトに電気代に影響するようになっているのです。

ガス代も急上昇 光熱費が約4,000円アップ?

電気代と同じく、ガス代も輸入金額料金調整があり、最近では3割以上高くなっています(グラフ7・8)。

グラフ7 標準住宅料金(月のガス消費量30㎥)
グラフ8 単位料金調整額(ガス1㎥あたり)

平均世帯であれば、毎月の電気代が2,200円、ガス代が1,500円の上昇で、合計3,700円アップとなりますから、家計にも影響が出てきます。  

日本は従来、安価な輸入燃料を当てにして、十分な省エネに取り組んできませんでした。世界のエネルギー情勢が急変する中、まさにそのツケが回ってきているのです。

エネルギー問題が「痛い」時代。同じ間違いをまた繰り返す?

これまで、日本における省エネは「すぐ出来ることだけちょっとやる」という感じで、日々の生活に直に影響する深刻な問題であるという実感は乏しかったものと思われます。長年にわたり小粒・小手先の対策に終始したため、世界事情が激変する中で国民が安心して暮らせるための備えは、残念ながらほとんどないというのが現実です。  

昨今の事態を受けて、慌てて政府もいろいろと検討しているようですが、正直いって「やらない方がマシ」と思ってしまうものも多く見られます。モノになるのかまったく分からない「ぶっ飛びイノベーション」に期待して、本当に10年後・20年後、この国で国民はまともな暮らしができるのでしょうか(図4)。

図4 エネルギー問題解消のため国と私たちに求められることはどれ?

考えてみれば日本こそ、石油がなかったばかりに勝ち目のない無謀な戦争に突入していった経験のある国です。エネルギーのせいで国を滅ぼした過去をよく振り返り、国民みんなの生活を守るために何をするべきなのか。この連載でも引き続き、考えていきたいと思います。


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