月々の電気代も急上昇

これまで電力量あたりの燃料費単価の推移を見てきましたが、月々の電気代の支払い金額はどれくらい変わるのでしょうか? 

図3に示すように、関東甲信3人世帯の平均消費電力量(月404kWh)を想定し、全国10社の規制料金と自由料金プランにおける、月々の電気代を算出したのが図4です。

図3 家庭部門のCO2排出実態統計調査 関東甲信3人世帯の平均消費電力量
太陽光の発電実績データ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業調査発表会2021

図4 3人世帯の月々の電気代の試算

プランはいずれも消費量が増えるに従い割高になる3段階料金です。併せて、直近の最安値からの値上がり金額と値上がり率も示しました。

沖縄電力以外の全社で、燃料費調整単価の上限が撤廃された自由料金の上昇は急激です。上昇率で見ると、東北電力で58.8%、東京電力で66.9%、中部電力で71.9%、中国電力で60.0%に上がります。一方で、北陸電力は44.4%、関西電力は47.9%、九州電力は38.6%の上昇に留まっています。電力会社による値上げ幅の違いは、後で分析してみることにしましょう。

規制料金の上限設定 いつまで続く?

電力会社は規制料金から自由料金への移行を促すため、割引やポイント還元などにより、規制料金よりも自由料金の方を若干割安に設定する場合が一般的です。しかし燃料費調整単価が高騰した現状では逆転し、上限なしの自由料金に対し、上限ありの規制料金の方が割安になっています。

ただし実際の燃料費は高騰しているので、上限を超えた分の差損が電力会社の経営を大きく圧迫しています。そのため来年以降、多くの電力会社が電力料金の改定を申請することが予想されます。規制料金についても、燃料費調整単価の上限撤廃が焦点になるでしょう。物価高騰の中でスムーズに認可されるとは思えませんが、燃料高騰の負担を自由料金プランの契約者だけが負担するのもおかしな話です。規制料金の上限も、いつかは撤廃されると考えるのが自然でしょう。

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