平屋と総2階建て住宅

住宅のコンパクト化は、近年の若い人たちが平屋に住むというトレンドが生まれる一因かもしれません。しかし、予算的にゆとりがないことが多く、面積をかなり切り詰めた家にならざるを得ません。最近ミニマリズムというライフスタイルが紹介されています。物にあふれかえった生活から、シンプルなさっぱりとした生活へ変え、できるだけものを所有せず、しかし所有する物については徹底的にこだわるという生き方に共感を覚える人も増えています。

私も近年マンションに住み始め、その狭さから物にあふれない生活に大きく共感するところではありますが、中々踏み切れません。もう少し面積的にゆとりのあるマンションに住みたいと思っています。一戸建て住宅でも予算的に厳しい中、少しゆとりを求めるとやはり総2階建て住宅が有利です。

図-1 延床面積当たりの外皮面積
図-1 延床面積当たりの外皮面積

図-1は前回も触れた住宅の外皮の面積と床面積の比をプロットしたグラフです。平屋に対し、総2階建て住宅では外皮面積が10~20%も少なくなっていることを示しています。総2階建て住宅は、特にお金のかかる基礎や屋根の面積が小さくなるため坪単価が安くなり、少しゆとりのある住宅を同じ予算でつくることができるのです。こうした総2階建て住宅のプランは、大手ハウスメーカーのプラン集にも必ず掲載されていて、ローコスト住宅の典型とされます。その代表的なプロポーションは3~4間×4~5間(図-2)ぐらいで30坪前後になります。このような小住宅は四角い箱状の形になり、大きな住宅と比べると高さは同じで幅が狭くなりますから背の高いプロポーションになりあまり格好が良くありません。まるで倉庫みたいなただの四角い箱になってしまうわけです。

図2 30坪前後の総2階建て住宅
図2 30坪前後の総2階建て住宅

また配置計画上も、今の典型的な敷地にうまく入りません。近年の宅地は地価が高いため、道路に面する間口を小さくして奥行も多少詰めて面積を小さくしています。この敷地に建つ住宅の日照を確保するためには、間口の方位を南東か南西向きにしたほうが有利なため、真南向きにはならないことが多いのです。間口が狭いため普通に四角い家を配置すると、家の横には車が入らず道路から家を引っ込めて家の前にカーポートを配置せざるを得ません(図-3)。その結果、家の南側の庭が狭くなり、狭い敷地の真ん中に小さい家が鎮座することになります。陽の当たらない北側に空地ができて、南の庭は狭く、住宅への日照も少なくなってしまいます。

図-3 配置図
図-3 配置図