合理的な窓構成

窓は熱が逃げやすいところですが、最近はガラスの高性能化で状況が大きく変わりました。詳しくはこの連載の第2回第3回を見てください。この住宅では、日射のあまり入らない北東・北西の窓にはトリプルガラスを採用し(図-4)、南東と南西の窓にはアルゴンガス入りの空気層16㎜のペアガラスを採用しました。日射を採り込むためにはペアガラスのほうが有利で、熱損失が増える分を補ってくれるのです。こうしても、全部トリプルガラスにした場合とほとんど暖房エネルギーは変わりません。コストを節約するための措置です。リビングの開放感のある大きな窓は、山形の木製サッシメーカーと共同開発した片引き窓を採用しています。

図-4 窓詳細平面図

図-4 窓詳細平面図
図-4 窓詳細平面図

Q1.0住宅としての熱性能

この住宅のQ値( 熱損失係数)は0.775W/㎡Kと省エネ基準住宅の約半分。暖房エネルギーは、省エネ基準住宅で灯油8.31ℓ/㎡に対し、1.72ℓ/㎡と約21%で済む計算です。Q1.0住宅のレベル4というもっとも高いレベルを実現しています。やはり総2階建てと大きな住宅だということが有利に働いたようです。

最後に

入居して約1年半が経った現在(連載当時)、この記事を書くに当たり、施主に了解を求めたところ、大変なことがわかりました。冬がかなり寒かったというのです。請求書をまとめてみたら、暖房のためのガス使用量は100㎥で済むはずなのに、実際は350㎥もかかっていました。こんなことは初めてで、これほど研鑽結果と開きがあるのは、どこかで大きな隙間が生じ気密性が極端に悪くなっているとしか考えられません。基礎と土台の間を疑っています。早急に気密測定を実施して原因を究明するつもりです。その結果を、連載で報告したいと思います。