高度地区なら日当たりは改善される

より厳しい規制がかけられた「高度地区」では、高さ5m以上の範囲での勾配を0.6/1と低くすることで、冬至の日当たりをなるべく確保できるようになっています(図6)。1階はともかく、2階の日当たりは期待が出来そうです。敷地選びの際には、こうした日当たりなど、敷地環境の規制がどこまで行われているかも気を付けておくとよさそうです。

図6 高度地区なら、2階の日当たりは守れそう
より規制が厳しい「高度地区」なら、5m以上の範囲の勾配が0.6/1と冬至の太陽高度と同じなので、冬でも隣の2階は日当たりが期待できます。

無神経な設計で日当たりが失われる 

これまで法律である「日影規制」や「北側斜線」を見てきましたが、これらはあくまで「最低限」の規制です。法律で許されている範囲では何を建ててもいい、という自己中心的な考えでは、地域の環境は良くなりません。

筆者が新しい住宅地を見ていると、日当たりをまったく考えずに住宅が並べられている場合が多く、悲しい思いをさせられます。設計段階でちょっとレイアウトを工夫しなかったばかりに、今後数十年にわたって、これらの家は日が当たらず寒い家としてガマンしなければならないのです(図7上)。

図7 建物のレイアウトでずっと日影か日当たりかが決まる
新しい住宅地でも、住宅が無神経にレイアウトされたせいで、冬にずっと日影に埋もれてしまう場合が多く見られます。昔の集合住宅は、住棟の間を十分に空けることで、当時でも4時間の日照を確保していました。もう一度、昔の設計者が守りたかったものを思い出し、住宅設計を見直す時期にきているのかもしれません。

レイアウトの工夫で日当たりは確保できる

昔の集合住宅は、冬にも日当たりが1階まで確保できるよう、建物の間隔を大きく空けていました(図7下)。建物単体の性能は今のほうが良くても、全体の配置計画はむしろ退化しているのかもしれません。

建物を交互にずらすなど、レイアウトの工夫により、日当たりは大きく改善することが可能です(図8)。感じのいい住宅地を歩いていると、建物同士が上手にレイアウトされていて、どの家にも日がよく当たっていることに気づかされます。

今回は、連載で何度か取り上げた日当たりについて、法律の規制も振り返りながら詳しく見てみました。最近は日当たりや日照権などの研究が少なく、筆者も1970年ごろの本を調べることになりました。

日当たりの大事さを思い出して、最低限の規制にこだわらず、思いやりのある設計で太陽をシェアすることで、地域のみんなが幸せに暮らせる。そんな家づくり・街づくりが全国に広がるとステキですね!

図8 建物をずらして日当たりをシェア
隣棟の真南・真北に建物を配置しては、どうしても日当たりの確保は難しくなります。東西にちょっとずらすことで、太陽を上手にシェアすることが可能です。
使用ソフト:インテグラル社 ホームズ君パッシブ設計オプション


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