「古民家をリノベーションして暮らしてみたい!」と考えている方も多いのではないでしょうか。古民家には独特の魅力があり、近年住まいにこだわる方からの人気が高まっています。

そこで今回は、古民家をおしゃれにリノベーションしたおすすめの実例を詳しくご紹介します。リノベーション費用の相場や、物件選びで失敗しないための注意点も解説しますので、ぜひ参考にしてください。


古民家リノベーションとは?

古民家リノベーションとは

「古民家リノベーション」とは、建築されてから長い年月を経た家である「古民家」を改修することを指します。古民家の主な特徴は、以下のとおりです。

屋根
  • 瓦屋根や茅葺き(かやぶき)屋根
  • 土壁(漆喰や珪藻土を使用)
  • 断熱材は使わず、土壁そのものの蓄熱性や調湿性を活かす
内装
  • 畳や天然の木材、障子を使用
間取り
  • 土間や縁側を設け、外と内をゆるやかにつなぐ間取り
  • 空間を大きく確保し、ふすまで区切る
構造
  • 接合部に金物を使わない伝統構法(木造軸組工法)
  • 家本体を地盤に固定せず、地震の揺れを逃して耐える構造(免震構造)

古民家の多くは大正時代より前に建てられており、設備が老朽化していたり現代の住宅に比べて断熱性・気密性が劣っていたりと、そのまま住むのは難しいでしょう。そのため、古民家としての特徴は残しつつ、断熱改修や間取り変更、最新設備の導入などにより現代の暮らしに合った住みやすい家につくり変える必要があります。

古民家リノベーションの方法は4種類

古民家リノベーションの方法は4種類

古民家のリノベーション方法は、大きく分けると以下の4種類です。

一般的な
リノベーション

  • 大きな解体作業をせず、外装・内装や水まわり設備を中心に改修する方法
  • 比較的古民家の保存状態が良い場合に採用される
半解体再生
リノベーション
  • 一度骨組みだけの状態になるまで解体し、基礎や柱などを部分的に補強してから改修する方法
  • 多くの古民家リノベーションで採用されている
全解体再生
リノベーション
  • 骨組みも含めて古民家を一度完全に解体し、柱や梁などの資材を再利用して建て直す方法
  • 比較的骨組みの劣化が進んでいる場合に採用される
移築再生
リノベーション
  • 古民家をクレーンで持ち上げたり一度解体したりして、別の場所に運んで建て直す方法

どの方法を採用するかは古民家の状態や土地の条件などによって決まり、専門家の判断が必要になります。工務店や建築家に調査を依頼し、最適なリノベーションプランを提案してもらいましょう。

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古民家リノベーションの主な流れ

古民家リノベーションの主な流れ

一般的に、古民家リノベーションは以下の流れで進めます。

  1. 古民家を選んで購入する(もしくは所有している古民家を用意する)
  2. 古民家の状態を調査する
  3. リノベーション計画を立てる
  4. 工事を実施する
  5. 完成・入居(引っ越し)

また、主な工事の内容と流れは以下のとおりです。

1.解体工事

劣化が進んだ部分や不要な部分を撤去する。解体しなければ状態が分からない部分もあるため、必要に応じてプランを変えることも

2.基礎の改修工事

古民家は石や土の上に乗っているだけのことが多いため、家をジャッキで持ち上げて基礎(鉄筋コンクリート)を施工する。このタイミングで土台や床下も補修する

3.耐震改修工事

柱と柱の間に筋交(斜めにわたす材料)を入れたり、柱や梁に添え木を設置したりして骨組みを補強する。家が傾いている場合は、ジャッキやワイヤーを使って垂直に戻す

4.屋根・外壁の改修工事

古い屋根材や外壁を撤去し、断熱・防水措置をしてから新しい屋根材・外装材に張り替える。足場を組む必要があるため、屋根と外壁の作業は同時に進めることが多い

5.内部の改修工事
・断熱改修
・設備の交換
・間仕切り壁の設置など

壁や床、天井に断熱材や防湿シートを貼り付け、家全体の断熱性や気密性を高める。水まわり設備を交換する際は、大がかりな配管・配線工事が必要になることも

6.仕上げ工事

クロスやフローリングを使って内装を現代風につくり変えたり、漆喰や塗料を使って古民家風に仕上げたりする。
趣のある建具や家具をリメイクして活用することも

先に基礎や柱・梁などの骨組みを直して安全性を確保してから、外装・内装を改修することで快適な家につくり変えるイメージです。古民家の状態や改修の範囲にもよりますが、工事期間は4ヵ月〜半年程度を想定しておくといいでしょう。

古民家リノベーションのおしゃれな実例5選

古民家リノベーションのおしゃれな実例5選

実際に、古民家をおしゃれにリノベーションした事例をご紹介します。築100年を超えた古民家やボロボロな状態の古民家が劇的に変化した事例もあるので、ぜひ参考にしてください。

【実例1】
築100年の古民家をおしゃれにリノベーション

【実例1】築100年の古民家をおしゃれにリノベーション
築100年の古民家をリノベーション

築100年の平屋の古民家をリノベーションした事例です。天井を抜いて古民家ならではの味わい深い梁を見せており、まるでおしゃれなカフェのような空間になっています。家具や壁、天井を古材の色に合わせて深みのある色でそろえたことで、現代的になりすぎず古民家の趣を残せている点も注目したいポイントです。

【実例1】築100年の古民家をおしゃれにリノベーション
外観はおしゃれな洋風住宅へ一新
【実例1】築100年の古民家をおしゃれにリノベーション
リノベーション前の古民家の様子。柱や梁が良好な状態で残っていた
【実例1】築100年の古民家をおしゃれにリノベーション
曳家(ひきや)で古民家を移動させる様子

外観は、昔ながらの古民家からおしゃれな洋風住宅に生まれ変わっています。屋根や外壁の断熱処理を徹底したことで、冬も夏もエアコン1台で快適に過ごせているとのこと。基礎は鉄筋コンクリートで強固につくり直し、耐震性も高めています。

【実例1】築100年の古民家をおしゃれにリノベーション
落ち着いたブラウンでコーディネートしたキッチン
【実例1】築100年の古民家をおしゃれにリノベーション
木目調デザインは古民家リノベーションにぴったり

古民家リノベーションでは「現代的なデザインになってしまう水まわり設備の見せ方」が難しいですが、この家のように落ち着いたブラウンや木目調デザインを選ぶと調和します。リノベーションする際はぜひ取り入れてみてください。

▼この事例の詳細は、こちらの記事をご覧ください
「築100年の小さな古民家を二人暮らしにちょうどいい住まいに」

【実例2】古民家の間取りを生かしたリノベーション

【実例2】古民家の間取りを活かしたリノベーション
立派な屋根が目を引く古民家をリノベーション

続いて紹介する事例は先ほどの事例と対照的で、外観をできるだけ元の古民家の状態で保存し、家の内部を重点的にリノベーションした家です。

【実例2】古民家の間取りを活かしたリノベーション
冬も夏も家族で快適に過ごせるリビング・ダイニング
【実例2】古民家の間取りを活かしたリノベーション
年月を感じさせる味わい深い梁
【実例2】古民家の間取りを活かしたリノベーション
「和」を感じられる空間が広がる

長年、冬の厳しい寒さに悩まされていたことから、家全体に厚い断熱材を施工。古民家の魅力である大空間は残したまま、家族で一年中ゆったり過ごせる家に生まれ変わりました。なお、内装はフローリングやクロスで張り替えていますが、できる限り部材を残したり建具を再利用したりしたことで古民家の魅力を損なっていません。

【実例2】古民家の間取りを活かしたリノベーション

また、古民家にはどうしても外せない柱や梁が多く、この家のように元の部屋割りを活かしつつ間取りを変えるのがポイントです。動線が大きく変わらないので、リノベーション後もスムーズに新生活を始められるでしょう。

▼この事例の詳細は、こちらの記事をご覧ください
「86年にわたる家族の歴史と、大切な思い出を未来へつなぐ古民家リノベーション」

【実例3】古民家の「再生」を重視したリノベーション

【実例3】古民家の「再生」を重視したリノベーション
広い土間がある古民家をリノベーション

築120年を超える歴史ある古民家をリノベーションした事例です。かつて養蚕農家だったことから、蚕を囲炉裏で温める部屋や広い土間スペースなどの当時の暮らしをうかがえる特徴が数多く見られます。

【実例3】古民家の「再生」を重視したリノベーション
重厚感のある大きな銅板屋根が特徴的
【実例3】古民家の「再生」を重視したリノベーション
養蚕農家だった頃の暮らしの様子が随所に見られる

収納スペースがなかったり広すぎたりと不便な点はあるものの、この家では魅力的な古民家を「再生」することを重視し、元の家の形をできるだけ残しつつ改修しています。フローリングを張り替える際も元の床の色に似た色を選ぶ徹底ぶりです。

【実例3】古民家の「再生」を重視したリノベーション
不便を楽しみ、「暮らしを古民家に合わせる」という選択

一度取り壊してしまうと元に戻せないことを考えると、この家のように「古民家にライフスタイルを合わせる」ことを意識したリノベーションもおすすめです。実際に暮らしてみてから少しずつ手を加えていけば、「古民家の保存」と「快適な暮らし」のバランスを取りながら理想の家につくり上げられるでしょう。

▼この事例の詳細は、こちらの記事をご覧ください
「不便を楽しみ、風土に寄り添う古民家のリノベーション」

【実例4】古民家をおしゃれな二世帯住宅へリノベーション

【実例4】古民家をおしゃれな二世帯住宅へリノベーション
古民家×二世帯住宅を実現したリノベーション

【実例4】古民家をおしゃれな二世帯住宅へリノベーション

【実例4】古民家をおしゃれな二世帯住宅へリノベーション

広々とした昔ながらの古民家を活かし、二世帯住宅へリノベーションした事例です。空間にゆとりがあるため、共用の浴室以外は各世帯の動線が重ならないような「プライバシーを確保した間取り」が実現しました。

【実例4】古民家をおしゃれな二世帯住宅へリノベーション
古民家の風合いを色濃く残した室内

内部は古民家としての風合いを色濃く残すため、土壁をそのまま残して外側から断熱材を施工する「外断熱」を採用。また、骨組みや建具、窓などを再利用し、細部まで調和した落ち着く空間に仕上げています。

土壁と深みを帯びた木材が
天気のよい日には家族みんなでウッドデッキに集合
【実例4】古民家をおしゃれな二世帯住宅へリノベーション
築60年の古民家の面影が残る
【実例4】古民家をおしゃれな二世帯住宅へリノベーション
老朽化した室内を現代の暮らしに合わせてつくり変え、大切に住み続ける

ガルバリウム鋼板で屋根を張り替えた外観は、古民家の「和」の要素を残しつつもシックでスタイリッシュな印象に。暖かな陽射しを浴びながら家族で穏やかな時間を過ごせるウッドデッキも魅力的です。

▼この事例の詳細は、こちらの記事をご覧ください
「古き良きものを生かした築60年の古民家リノベーション」

【実例5】古民家の趣と快適性を両立したリノベーション

ステンレス製のスタイリッシュなキッチンや、白いタイル張りの壁が、古材の空間に映える

現代的で快適な暮らしにこだわりながらも、古民家の魅力をさらに高めることを目指したリノベーション事例です。

この家を見ると、古民家とモダンなスタイリッシュさが意外と相性が良いことが分かります。工業的な印象を与えるステンレスキッチンやスタイリッシュな洗面台、北欧デザインの照明が、「和」と「洋」の両方の要素を散りばめた古民家にぴったりです。

アンティークな雰囲気は、言うまでもなく映えます。125年という長い年月を感じさせる古材の色合いと鮮やかなガラス模様が絶妙に調和し、個性的かつ上品な雰囲気を演出しています。

レトロ感のあるステンドグラスが、室内の素敵なインテリアに
新設した洗面台はシンプルでスタイリッシュな仕上げに
新設した洗面台はシンプルでスタイリッシュな仕上げ

底冷えしやすい1階には、断熱改修したうえで床暖房も完備。窓の位置もこだわって設計されているので、真冬や真夏の気候が厳しい時期を除けば、自然の光や風だけで十分快適に過ごせます。おしゃれなインテリアや便利な設備に囲まれつつ古民家暮らしを楽しみたい方は、ぜひこの家を参考にしてください。

住宅性能や暖房設備、インテリアデザインを今の暮らしに合わせてアップデートした古民家は、大きな時間の流れを感じられる贅沢な暮らしの場になっている

古民家リノベーションの5つの魅力

古民家リノベーションの5つの魅力

古民家リノベーションには、新築住宅や一般的な中古住宅のリフォームとは異なる5つの魅力があります。

  1. 趣のある家に住める
  2. 自然と共生する暮らしを楽しめる
  3. 歴史的な価値のある古民家を守れる
  4. エコな家づくりができる
  5. 固定資産税が安い

順番に詳しく見ていきましょう。

1. 古民家ならではの、趣のある家に住める

古民家ならではの趣のある家に住める

現代の住宅は基本的に工場で生産・加工された資材を使って建てますが、古民家には良質な木材や石などの天然素材がぜいたくに使用されています。元の木の姿がそのまま分かるような太い柱や梁は重厚感があり、自然そのままの曲線やゆがみを見て唯一無二の造形美を感じる方も多いでしょう。

また、畳や障子、土壁といった古き良き「和」の心を感じさせるモノに囲まれて暮らせることが、古民家リノベーションの最大の魅力です。

2. 古民家ならではの、自然と共生する暮らしを楽しめる

古民家ならではの自然と共生する暮らしを楽しめる

古民家は「家の中と外を明確に分けずゆるやかにつなぐ」という考え方を原点としてつくられており、縁側や土間などの屋外と屋内の中間のような場が設けられています。

古民家ならではの自然と共生する暮らしを楽しめる
「ウチ」と「ソト」がゆるやかにつながる古民家
古民家ならではの自然と共生する暮らしを楽しめる
屋外と屋内の中間となる空間が自然とのつながりを感じさせる

縁側で四季によって姿を変える自然をながめ、鳥の声に耳を傾ける。庭仕事で靴が汚れたら土間でさっと洗い流し、家族でゆっくり食事を楽しむ日々。

家の広さや敷地のスペースに余裕があり、自然を意識して建てられた古民家だからこそ実現できる暮らしです。都会の喧騒から離れて自然のなかで穏やかに過ごしたい方は、ぜひ古民家リノベーションを検討してみてください。

3. 歴史的な価値のある古民家を守れる

歴史的な価値のある古民家を守れる

築50年や100年を超える古民家のなかには、壊れた部分の補修や増築を繰り返しながら大切に受け継がれてきた家もあります。しかし、引き継ぐ人がいなかったり現代の暮らしに合わなかったりして空き家になってしまうと、急速に劣化が進んでしまうでしょう。

また、空き家を放置すると野生動物が住み着いたり不審者が侵入したりする問題も起こりやすく、歴史ある古民家が「負の遺産」になってしまいます。リノベーションでバランスよく「今の時代」に合わせてつくり変えることが、結果として古民家の歴史や価値を守ることにつながります。

4. 古民家の再利用でエコな家づくりができる

古民家の再利用でエコな家づくりができる

古民家リノベーションでは、もとの家に使われていた柱や梁などの資材を再利用します。新築工事よりも必要な材料が少なくなる分だけ費用を節約できるうえに、貴重な天然資源を有効活用できるという点がメリットです。

また、住宅を一度取り壊してから新しく建て直すと大量の廃棄物が発生しますが、「リノベーションなら7割近く廃棄物の量を減らせる」という研究結果もあります。廃棄物の処分の過程で発生する二酸化炭素を削減できるため、古民家リノベーションは環境に優しい家づくりといえるでしょう。

参考:金沢工業大学|リノベーションによる二酸化炭素排出量および廃棄物排出量の削減効果

5. 新築より固定資産税が安い

古民家なら新築より固定資産税が安い

家や土地などの不動産を取得すると、毎年固定資産税を支払わなければいけません。しかし、築50年を超えるような古民家は建物の資産価値がほぼゼロとみなされることが多く、評価額が20万円未満であれば非課税となります。

また、古民家は比較的郊外に建っており、土地の評価額も安い傾向があります。そのため、一般的な新築住宅を建てる場合よりも安く済むケースが多いです。

ただし、古民家の機能や耐久性が大幅に上がるようなリノベーションを行うと、新築に近い資産価値がある家とみなされて固定資産税が高額になることもあります。固定資産の評価額に関する基準は自治体によって異なるため、事前に自治体の窓口でリノベーション計画について相談してみることをおすすめします。

参考:東京都主税局|固定資産税・都市計画税(土地・家屋)

古民家リノベーションにおける後悔しない物件の選び方

古民家リノベーションにおける後悔しない物件の選び方

古民家リノベーションではもとの家の骨組みや素材を活かしてつくり変えるため、物件選びが重要です。後悔しないためにも、以下のポイントを意識して慎重に選びましょう。

  • 暮らし方をイメージして選ぶ
  • 土地の条件で選ぶ
  • 保存状態で選ぶ
  • 周辺環境で選ぶ
  • リノベーションの依頼先で選ぶ

それぞれ詳しく解説します。

古民家での「暮らし方をイメージ」して選ぶ

古民家での暮らし方をイメージして選ぶ

古民家暮らしは、現代的な家での暮らしとは異なる部分が多いです。

  • 家の中や庭が広すぎて掃除・管理が大変…
  • 一つひとつの部屋が大きく、数が足りない…
  • 収納が少なく、片付けづらい…

このように悩んで後悔する方もいるため、まずはどのような暮らしに向けてリノベーションしたいのかを明確にしておきましょう。

例えば、管理の手間がかかるのを避けたい場合は、比較的敷地や建物の規模が小さい古民家を選ぶのがおすすめです。柱や梁などの古民家の魅力的な部分は残しつつ、生活しやすいように間取りや内装を思い切って現代風に変えるのもいいでしょう。

古民家での暮らし方をイメージして選ぶ
現代のライフスタイルをバランスよく取り入れてみる

反対に、古民家の不便さも楽しみながら暮らしたいという方は、ぜひ「愛着を持って住み続けられる家かどうか」を考えて選んでみてください。「立派な屋根が気に入った」「窓から見える景色が美しい」といったお気に入りポイントがあることで、日々の家事を楽しく続けられている方が多いです。

古民家の「土地の条件」で選ぶ

古民家の土地の条件で選ぶ

移築再生する場合を除いて、一般的に古民家は土地とセットで購入します。土地の広さや陽当たりはあとから変更できず後悔しやすいので、必ず現地で確認してから選びましょう。

また、古民家は比較的郊外に立っていることが多いですが、土地が「市街化調整区域」内に位置する場合は注意が必要です。市街化調整区域とは、自然環境を保護することを目的として定められた、都市計画法上の地域区分です。

市街化調整区域内では建築行為が制限されており、大がかりなリノベーション工事や増築工事に対して自治体の許可がおりない恐れがあります。

気になる物件を見つけたら、インターネットで「(自治体名)都市計画情報」や「(自治体名)用途地域」と入力して検索し、市街化調整区域内に位置するかどうかを調べてみましょう。市街化調整区域内にある場合は、購入する前にどの程度工事ができるかを、工務店や建築家へ相談してみることをおすすめします。

古民家の「保存状態」で選ぶ

古民家の保存状態で選ぶ

一般的に古民家リノベーションでは古材を再利用しますが、劣化が著しい部材は新しく取り替えなければいけません。保存状態が悪くほとんどの部分の改修が必要になれば、古民家というより新築住宅に近い仕上がりになってしまうでしょう。

特に、目立つ場所の柱や梁が真新しい木材に変わると古民家の趣を感じにくく、後悔しやすいです。物件を内覧する際に、木材の傷み具合をチェックしてから選んでみてください。簡単にチェックできるポイントは、以下のとおりです。

  • 柱や梁をたたいたときに空洞音がしないか
  • 木材を触るとポロポロと崩れないか
  • 虫食いの跡がないか

なお、古民家の状態を正確に確認するには専門家の調査が必要です。できれば、リノベーション工事を依頼する予定の工務店や建築家と一緒に内覧することをおすすめします。

古民家の「周辺環境」で選ぶ

古民家の周辺環境で選ぶ

古民家そのものはリノベーションでつくり変えられますが、周辺環境は変えられません。

  • 駅や周辺施設へのアクセスが悪く、車がないと生活できない…
  • 子どもにとって危険な崖や森林が近い…
  • 近隣住民との距離感が近く、プライバシーを守れない…

このような点で後悔しないように、内覧時に周辺の様子をチェックしてから選びましょう。

特に、古民家の外観を大きく変える予定の方は注意が必要です。周囲の景観から浮いてしまうと、近隣から苦情が寄せられることがあるためです。物件探しの際には、近隣コミュニティーの様子や近い場所でリノベーションした事例があるかどうかを不動産会社へ聞いてみることをおすすめします。

古民家リノベーションの「依頼先」で選ぶ

古民家リノベーションの依頼先で選ぶ

古民家をリノベーションするには、伝統構法への深い理解と適切に施工する技術が不可欠です。また、解体した際に想定外の不具合が見つかることもあり、柔軟な対応力も求められます。そのため、先に古民家を購入したものの、リノベーションできる工務店が見つからず困ってしまう方も少なくありません。

後悔しないためには、物件選びよりも先に古民家リノベーションを依頼できそうな工務店や建築家を探しておくことをおすすめします。過去の施工実績を調べれば完成イメージが分かり、似た条件の物件を探せば対応してもらえる可能性も高いです。

Replan SUMAIナビ AIでできる工務店・建築家探し」では、古民家リノベーションに精通した工務店や建築家もご紹介しています。匿名でのご相談・ご質問も可能なので、ぜひご利用ください。

古民家リノベーションの費用の相場

古民家リノベーションの費用の相場

古民家リノベーションにかかる費用は、古民家の状態や改修する範囲によって大きく変わります。リノベーション方法別の工事費用の相場は、以下のとおりです。

  • 一般的なリノベーション:300万円〜2,000万円程度
  • 半解体再生リノベーション:2,000万円程度
  • 全解体再生リノベーション:2,000万円〜3,000万円程度
  • 移築再生リノベーション:3,000万円〜4,000万円程度

作業内容ごとの費用は、以下の一覧表を参考にしてください。

作業内容費用の相場
解体作業約100万円〜200万円
基礎の改修約800万円〜1,000万円
耐震改修部分的な改修:約150万円〜200万円
建物全体の改修:1,000万円〜1,500万円
屋根の改修約50万円〜200万円
外壁の改修約50万円〜350万円
断熱改修床・天井・壁:4,000円〜1万円/㎡
窓(二重窓の設置):約5万円〜15万円
水まわり設備の更新キッチン:約50万円〜150万円
トイレ:約20万円〜50万円
洗面台:約20万円〜50万円
浴室:約100万円〜150万円
内装の改修約80万円〜100万円

個別に少しずつ改修するよりも、できるだけまとめて工事を進めたほうが割安になります。予算が限られている方は、外壁・屋根などの外まわりの改修や断熱改修を優先しましょう。現代の家に慣れていると、古民家特有の底冷えやすきま風をつらく感じやすいためです。

また、外まわりの断熱・防水処理を強化すると家が長持ちし、さらにエアコン効率がよくなることで電気代の削減にもつながります。

古民家リノベーションで費用を抑えるポイント

古民家リノベーションの費用をおさえるポイント

費用を抑えて古民家をリノベーションしたい方は、以下の3点を意識しましょう。

  • 良好な状態の古民家を選ぶ
  • 部分的にDIYでリノベーションする
  • 古民家リノベーション関連の補助金を利用する

順番に詳しく解説します。

良好な状態の古民家を選ぶ

古民家の修繕箇所が少ないほど、リノベーション費用は安くなります。特に、屋根や骨組みの状態が良好でそのまま使える場合は大幅に費用を削減できるため、物件を選ぶ際に以下のポイントをチェックしてみてください。

  • 屋根や天井に雨漏りの跡がないか
  • 柱や基礎にシロアリ被害の跡がないか
  • 土台の木材が腐っていないか
  • 見た目で分かるほど柱や床が傾いていないか
  • 室内や床下がカビ臭くないか

なお、家の状態は単純に古さで決まるわけではありません。築年数が浅い物件でも状態が悪いケースもあるため、気になる物件があれば必ず内覧してから決めましょう。

部分的にDIYでリノベーションする

部分的にDIYでリノベーションする

施工会社に工事を依頼する範囲が少ないほど、費用を抑えられる傾向があります。初めに必要最低限の部分だけをリノベーションして、住みながら少しずつDIYで変えていくのもいいでしょう。古民家の状態が良く、実務経験がある方やDIYに慣れている方が作業するのであれば工事費用を約300万円〜700万円に抑えることも可能です。

DIYしやすい作業DIYでは難しい作業
  • クロスやフローリングの張り替え
  • 室内の壁の塗装
  • 建具のリメイク、など
  • 建物の骨組みを解体・改修する作業
  • 屋根や壁などの外まわりの改修作業
  • 配管・配線作業

ただし、骨組みの解体や高所での作業は専門知識や技術がない方が行うと大変危険なため、DIYするのはおすすめできません。また、電気工事ができるのは、法律で有資格者のみと規定されています。DIYで古民家をリノベーションしたい方も、まずは専門家に相談し、できる範囲を確認することから始めましょう。

参考:電気工事士法|第3条(電気工事士等)

古民家リノベーション関連の補助金を利用する

古民家リノベーションには補助金が利用できる場合があります。例えば、以下のような補助金です。

空き家の改修
に関する補助金

一定以上の築年数が経過しており、居住者がいない家を改修する際に利用できる補助金が多い。
例)
北海道函館市|空家等改修支援補助金
青森県黒石市|空き家利活用事業補助金

耐震関連の補助金

法律上の耐震基準を満たしていない建物を改修する際に利用できる補助金が多い。
例)
北海道帯広市|木造住宅耐震改修補助金
青森県佐井村|木造住宅耐震診断支援事業

省エネ関連の補助金

断熱改修工事をしたり高効率給湯器を導入したりする場合に利用できる補助金が多い。
例)
子育てエコホーム支援事業(国の補助金)
北海道帯広市|住まいの改修助成金
青森県南部町|住宅新築リフォーム支援事業補助金

環境対策関連の補助金

汲み取り式トイレから水洗式トイレへ改修する際に利用できる補助金が多い。
例)
北海道江別市|浄化槽の設置補助制度
青森県八戸市|きれいな八戸の海・川を創る浄化槽改造費用補助金

移住関連の補助金

他の都道府県からの移住を目的に住宅を取得・リフォームする際に利用できる補助金が多い。
例)
北海道函館市|まちなか住宅建築取得費補助金
青森県つがる市|移住者マイホーム応援事業

※上記は2024年3月現在の情報です。必ず自治体のホームページから最新情報を確認してください

補助金事業によっては最大100万円や200万円といったまとまった金額を受け取れる場合もあります。条件が合う方はぜひ活用しましょう。なお、補助金を利用するには、基本的に契約前や工事を始める前に申請する必要があります。リノベーションを依頼する工務店や建築家が決まったら、早い段階で補助金を利用したいことを伝えておくとよいでしょう。

参考:住宅リフォーム推進協議会|住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和5年度版)

古民家リノベーションでは、古き良き古民家の魅力を引き立てつつ、骨組みを直したり断熱性を高めたりして長く快適に住み続けられるようにつくり変えます。環境に優しく税金が安いといったメリットもあるので、「和」の心が感じられる空間で暮らしたい方はぜひ検討してみてください。

まとめ

なお、リノベーション費用はもとの古民家の状態によって大きく変わるので、これから購入する方は慎重に内覧して決めましょう。また、古民家リノベーションには高い設計力と施工技術が求められるので、実績豊富で信頼できる工務店や建築家に依頼することをおすすめします。

(文/Replan編集部)


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