「住宅ローンの頭金」が用意できない場合の注意点

公開日:2025.11.25 最終更新日時:2025.11.14

Replanが教える家づくりに必要な基本、あれこれ。

住宅ローンの借り入れ時には、できるだけ頭金を用意しておいたほうが後々安心ですが、中には頭金を用意できないという方も。今回はCFPの有田 宏さんに、その場合の注意点を解説していただきます。

※記載内容は2025年11月25日時点のものです

住宅ローンの借り入れは、頭金が無くても可能なのか?答えは「可能」で、自己資金がゼロで頭金を入れなくても、住宅ローンを利用することはできます。その際は、住宅取得に伴う登記費用やローン事務手数料などを含んで借りることも不可能ではありません。  

ただし頭金がある場合に比べて、次に挙げるようなデメリットや注意点が多いという点を踏まえておくことが重要です。

注意点① 月々の住宅ローン返済額が増える

住宅ローンを頭金無しで利用すると、当然、住宅ローンの借り入れ額が増えます。そのため最長の期間でローンを組んだとしても、月々の返済額が多くなり、家計を圧迫する可能性が高くなります。返済比率(年収に占める年間返済額の割合)が無理のない範囲(一般に25〜35%以下)かどうかを必ず確認しましょう。

注意点② 適用金利が上がることがある

金融機関や金融商品によって異なりますが、一定額以上の頭金が無いことを理由に適用金利が上がることがあります。住宅金融支援機構の「フラット35」では、借り入れ額が取得物件価額の90%を超えると、ローン全体の金利が上昇します。

また優遇金利による金利の引き下げ幅が小さくなることもありますので、複数の金融機関で金利の条件を比較検討し、少しでも条件が良いところを選ぶのがおすすめです。

注意点③ ローン審査が厳しくなる

頭金が無いと借り入れ金額が増え、収入に対する返済金額の割合が高くなるので、家計の計画性に疑義が生じ、ローン審査で不利になります。判断材料といえ「信用情報」「年収」「職業の安定性」などが重視され、審査の鍵になります。少しでも信用度を上げるためには、クレジットカードや他のローンの支払いに遅延がないよう留意しておく必要があります。

注意点④ 「オーバーローン」で住宅の売却が困難になることも

新築からしばらくの間、住宅ローン残高の減少は住宅評価額の減少に比べてわずかな額です。そのため、住宅ローンの返済途中でやむを得ず売却しなければならなくなった場合、住宅売却価額がローン残高よりも少なく、「住宅を売りたくても売れない」という状況になる可能性が高まります。ローンの残債が物件の価値を上回る「オーバーローン」と言われる状態です。そのリスクを減らすためには、物件選びの際に、資産価値が落ちにくい立地や条件を重視するといいでしょう。

注意点⑤ 急な出費への備え

頭金無しで住宅ローンを借り入れるとなると、そもそも手元資金が少ない可能性も。住宅購入後にも固定資産税や突然の設備の故障など、まとまった額が入り用になるので、生活防衛資金として最低でも3〜6ヵ月分の生活費は確保しておきたいところです。

今は変動金利を中心に、住宅ローン控除の控除率を下回る金利の住宅ローンもそれほど珍しくありませんし、ローンに付随する団体信用生命保険も充実しています。そのため、あえて自己資金を投入せず、住宅取得額の満額をローンで賄うというケースも多いようです。

ただ、ご紹介したように頭金を用意するケースよりも懸念点やリスクがたくさんあります。将来にわたって安心して暮らしていくためにはやはり、計画的に頭金を貯めて余裕のある資金計画を立てることが大切です。

Related articles関連記事