家づくりでよくある「ダイニング」の失敗や後悔と、その解決策とは?
Replanが教える家づくりに必要な基本、あれこれ。
目次
- 失敗・後悔①:思ったより「狭い」「動きにくい」
- 「狭さや動きにくさ」に関する、よくある不満と原因
- 失敗しないために、住まい手ができる対策とは?
- 1. 新居で使うダイニングセットは、プランニング時に決めておく
- 2. 図面上の家具サイズを正確に把握する
- 3. 使う家具の寸法を正しく把握する
- 4. 「座る+立ち上がる+通る」の動きをシミュレーションする
- 失敗・後悔②:キッチンとの距離と位置関係が悪い
- 「キッチンとの距離や位置関係」に関する、よくある不満と原因
- 失敗しないために、住まい手ができる対策とは?
- 1. 「配膳」から「片付け」までの動作を考える
- 2. 暮らしの中での「ダイニング空間」の位置づけを考える
- 失敗・後悔③:ダイニングテーブルのサイズや形が合っていない
- 「ダイニングテーブル」に関するよくある不満と原因
- 失敗しないために、住まい手ができる対策とは?
- 使う人数に合ったサイズを選ぶ
- 失敗・後悔④:ダイニングの照明が「暗い」「まぶしい」「テーブルの真上に来ない」
- 「ダイニングの照明」に関するよくある不満と原因
- 失敗しないために、住まい手ができる対策とは?
- 1. できればペンダントライトを使用
- 2. 明かりの色を「電球色」に
- 3. 照明を移動するための「備え」
- 失敗・後悔⑤:コンセント・収納が足りない
- 「ダイニングのコンセント・収納」に関するよくある不満と原因
- 失敗しないために、住まい手ができる対策とは?
- 1. ダイニングテーブル近くの床や壁にコンセントを設置
- 2. 対面キッチンのダイニング側などに、収納やカウンターを設置
「椅子を引くと通路が狭い」「配膳の動線が遠い」「近くにコンセントがない」など、ダイニングの失敗や後悔は意外と多いもの。キッチンを含むダイニングまわりのプランニングで何より重要なのは、
- 動線
- 距離感
- 必要な機能
の設計です。
そこで今回はインテリアコーディネーターの本間純子さんに、ダイニングの設計でよくある失敗や不満を解消するためにプロが実践する「寸法と根拠に基づいた具体的な考え方」を教えていただきます。その内容を参考に、家族が自然と集まる、後悔のない理想のダイニングを実現しましょう。

失敗・後悔①:思ったより「狭い」「動きにくい」
「狭さや動きにくさ」に関する、よくある不満と原因
ダイニングの失敗で特に多いのが、物理的な「狭さ」によるストレスです。
食事中に家族が後ろを通れず椅子を入れ直したり、壁際の収納棚との間に指を挟んだりするケースは少なくありません。また、転倒防止のために脚が広い子ども用椅子が通路をふさいでしまうのも意外な盲点です。これに配膳や片付けの動線の悪さが重なると、毎日の家事が大きな負担となってしまいます。

これらの失敗を招く原因は、主に2つあります。
一つは、図面上の家具サイズだけで配置を決め、生活に必要な「余白」を見落としていること。インテリアショップで実物を見たとしても、その印象と実際の生活空間では、必要な「余白」の感覚がまったく異なります。
もう一つは、椅子を引く(約60㎝)、座っている人の後ろを通る(約75㎝以上)といった「動作寸法」のイメージ不足です。ダイニングは実は人の動きが激しい場所です。家具の大きさだけでなく、この具体的な動作スペースがプランニングから抜け落ちていることが、窮屈さを生む最大の要因となります。

失敗しないために、住まい手ができる対策とは?
使いやすいダイニングを検討する際に、施主が知っておくべきポイントは次の5点です。
1. 新居で使うダイニングセットは、プランニング時に決めておく

これは理想ですが、新居で使うダイニングセットをプラン時に決めておくと、失敗を回避しやすくなります。ダイニングテーブルやチェアの形状や寸法によって、ダイニングスペースに必要な面積は大きく変わってしまいます。
プラン時に使うダイニングセットが決まっていれば、その寸法を基準に必要な広さを検討できて、想定外のリスクを軽減できます。
とはいえ「そんなに早くダイニングセットを決められない」という方は、せめて
- 今使っているダイニングセットを使うか否か
- 今のダイニングセットよりも大きいサイズをイメージしているか
について建築士に伝えておくと、ダイニングの寸法に関する失敗のリスクを減らせるでしょう。
2. 図面上の家具サイズを正確に把握する
使うダイニングセットが決まっている・いないに関わらず、図面を正確に把握することは重要です。具体的には「平面図の縮尺から家具の寸法を確認する」こと。住宅の間取り図は1/50スケールの平面図が一般的です。三角スケールをお持ちの方は1/500を使うと簡単に測れます。

もちろん定規でも確認できます。1/50スケールでは、図面上の1m=定規の2㎝。図面上の10㎝=定規の2㎜です。
テーブルのサイズや椅子のサイズが、配置予定の家具と一致しているかを確認すると、思っているよりも大きい・小さいを早めに発見できます。
3. 使う家具の寸法を正しく把握する
図面の把握と同時に、使う家具の寸法を正確に把握しておくことも大切です。

例えば椅子は、後ろの脚が意外と外へせり出していて奥行きがあります。そのため、通路が狭いと足の小指をぶつけやすくなります。またチャイルドチェアは座面の大きさに対して、脚が大きく広がっていて、多くは床に占める面積は大人用の椅子とさほど変わりません。
4. 「座る+立ち上がる+通る」の動きをシミュレーションする
ダイニングの失敗を防ぐには、
- 椅子を引いて立ち上がる動作がストレスなくできるか
- 人が座っているときに、背後を余裕で通れるか
をシミュレーションすることがとにかく重要です。物を持って通るのに姿勢を変えなくてはいけないと不便ですし、立ち上がるたびに椅子の背が壁に当たると、椅子や壁の傷の原因になります。

先にもお伝えしたとおり、椅子の背後の通路幅は、できれば75㎝以上はほしいところです。座る際、椅子を後ろに引くために椅子の横に立つスペースも含め、「動作の寸法」を意識しましょう。
失敗・後悔②:キッチンとの距離と位置関係が悪い
「キッチンとの距離や位置関係」に関する、よくある不満と原因

キッチンとダイニングの関係で多い不満は、配膳・片付けの「動線の長さ」と「視界のミスマッチ」です。「対面キッチンが一般的だから」と安易に配置を決めると、場合によっては暮らし方に合わずに使いにくくなることもあります。
また、キッチンから家族の様子やテレビが見えずに孤立感を感じたり、逆に近すぎて食事中にシンクの洗い物が視界に入り、リラックスできないといった「見え方」の後悔も目立ちます。
こうした失敗の背景には、標準的な間取りの「型」に頼りすぎ、実際の動きを深く検討できていない点があります。

これは「誰がいつ、どこで何をするか」や「自分たちにとっての心地よさ」という自分軸の生活の解像度が低いまま間取りを決めてしまうことに起因する失敗です。家づくり全体に言えることですが、単なる配置の問題ではなく、暮らしの優先順位の整理不足が失敗や後悔の根本的な原因となり得るのです。
失敗しないために、住まい手ができる対策とは?
1. 「配膳」から「片付け」までの動作を考える
ダイニング-キッチン間では食器や鍋などを持って移動することが多いので、「配膳」や「片付け」の動作がスムーズにできるかもシミュレーションします。
特にペニンシュラ型の対面キッチンの場合は、ダイニングとの行き来の回数や距離が増えがちです。ダイニング・キッチンの作業動線にのみ注目するなら、2方向からダイニングにアクセスできる「アイランド型」や、横方向の動きで済む「ストレートダイニング」が効率的で、動きの無駄を省けます。


2. 暮らしの中での「ダイニング空間」の位置づけを考える
ダイニングは基本的に食事をする空間です。ただその使い方や位置づけは、住まい手のライフスタイルによってさまざまです。
もしダイニングが「食事の時間を楽しむ場所」「家族の団らんやくつろぎの場所」という位置づけなら、キッチンの中にある調理直後の鍋やボウルなどの雑然とした様子が、ダイニングから直に見えないレイアウトを優先して検討しましょう。

食事の準備をして後片付けをするキッチンは、住まいの中では「工場」のような存在です。「作業場であるキッチンが見えないほうが落ち着く」と、あえて独立型キッチンを選ぶ方もいます。キッチンからダイニングで勉強する子どもの様子が見えるかなども含め、自分たちの暮らし方に合わせて間取りや家具配置を考えることが、成功の秘訣です。
失敗・後悔③:ダイニングテーブルのサイズや形が合っていない
「ダイニングテーブル」に関するよくある不満と原因
- 4人家族なのにテーブルが窮屈
- 来客時に広さが足りない
- 丸テーブルにしたが、使い勝手が良くない
こういった失敗や後悔が、ダイニングテーブルにはついてよく聞かれます。理由はいくつか考えられますが、一番の原因は
- 生活人数や使い方を具体的にイメージできていなかった
- 一人あたりに必要な快適寸法を確保できていないサイズを選んだ
という2つの点だと考えられます。
失敗しないために、住まい手ができる対策とは?
使う人数に合ったサイズを選ぶ
テーブルのサイズは使う人数で決まります。1人分の食事スペースには最低でも幅60㎝が必要です。それを考慮して、住まいや家族構成に合ったサイズのテーブルを選ぶと安心です。

ゲストが来ることを想定する場合は、伸長式のテーブルやバタフライテーブルで対応するとスマートです。ただその場合、もとのテーブルサイズよりも60㎝ほど天板が広くなるので、ダイニングスペースを広めに確保する必要があります。椅子も忘れずに用意しておきましょう。

ダイニングテーブルのサイズや形については、以下の記事で詳しくご説明しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
失敗・後悔④:ダイニングの照明が「暗い」「まぶしい」「テーブルの真上に来ない」
「ダイニングの照明」に関するよくある不満と原因

「ダイニングの照明」については、
- 食事がおいしそうに見えない
- ペンダントが邪魔/低すぎる
- テーブル面が暗い
- ペンダントライトが真上に来ない
などの不満や悩みの声が多く聞かれます。その主な原因として考えられるのは「照明計画の曖昧さ」。ダイニングの照明は主に
- テーブル面全体に光が当たっていること
- 十分な明るさが確保できていること
- 食べ物の色がおいしそうに見えること
- 立ち座りのときに照明器具にぶつからないこと
- 食事中にまぶしくないこと
に注意して選定することが必要です。

失敗しないために、住まい手ができる対策とは?
1. できればペンダントライトを使用
食事を楽しむためには、テーブル全体がちゃんと見えるように照明器具を配置するのが大前提です。ダイニングにテーブル面全体を照らせるペンダントライトを付けるのが、一般的にはおすすめです。
ダウンライトだけにするなら、集光タイプと拡散タイプの合わせ技や、アジャスタブルダウンライトで明かりの位置を調節する方法があります。
「十分な明るさの確保」という点でも、ペンダントライトが効果的です。明かりは光源が近いほど明るく、遠くなるほど明るさを感じにくくなります。

通常、テーブル面から天井までは約1.7m〜1.8mありますが、ダイニングペンダントの高さは、テーブル面から0.7m(70㎝)ほど。同じ100W相当の明かりだと、天井面の明かりのほうが、1m分の光の量をロスしていることになります(光を拡散し、周囲を明るくする効果はあります)。
つまり、ダイニングテーブルにペンダントライトを下げると、十分な明るさを確保することができます。ペンダントライトはデザインも豊富なので、インテリアのアクセントとしての役割も大きいですね。
2. 明かりの色を「電球色」に

「食べ物をおいしそうに見せる」には、「電球色」の明かりを選びましょう。食材に多い赤や緑をおいしそうな色に見せてくれます。さらに、より自然光(太陽光=Ra100)に近い演色性の高い明かりが注目されています。これまでのRa84でも十分美味しそうでしたが、最近のRa90の明かりは、色がより自然に鮮やかに見えます。
3. 照明を移動するための「備え」
「立ち座りのときに照明器具にぶつかる」「食事中に光源が目に入ってまぶしい」といった不便の大きな原因の一つは「照明の設置場所」です。
ペンダントライトはテーブルの中心に下がるようにセットするのが理想ですが、シェードが大きかったり、テーブルの位置を移動させたりすると、器具にぶつかってしまうことがあります。照明位置の移動の可能性を考慮して、天井に下地を入れておいたり、ダクトレールを設置しておいたりすると、いざというときに照明の位置を調整しやすくなります。

高さについては、ほとんどのペンダントライトが調節可能です。実際にテーブルを置いたら、立ち座りを試してみましょう。高さ調節の時には光源が目に入らないかもチェックします。デザインによっては、隙間から光源が見えて不快に感じることがあります。立ち上がったとき、腰かけたときなど、さまざまな動作で光源の見え方を確認しましょう。
ダイニングのペンダントライトついては、以下の記事で詳しくご説明しています。ぜひ参考にしてみてください。

失敗・後悔⑤:コンセント・収納が足りない
「ダイニングのコンセント・収納」に関するよくある不満と原因
ダイニングのコンセントや収納については、
- ホットプレート・卓上IH用のコンセントが近くになくて使いにくい
- スマホやタブレットの充電場所がない
- ランチョンマットやボックスティッシュ、卓上調味料などの置き場がない
など、コンセントや収納といった機能不足の失敗や不便の声が聞かれます。これは自分たちの食事のスタイルに考えが及ばなかったことや、ダイニングを「食事をするだけ」の空間と捉えてしまったことが原因。

特に実際は、ダイニングの使い方が多様化していて、在宅ワークや子どもの勉強場所のほか、ダイニングテーブルの広さを生かして新聞を読んだり、アイロンがけやミシンがけなどの家事に使ったりという家庭も多くあります。
失敗しないために、住まい手ができる対策とは?
1. ダイニングテーブル近くの床や壁にコンセントを設置

コンセントがテーブルの近くにあると何かと重宝します。ケーブルが通路を横切って足を引っ掛けたりしないよう、コンセントは対面キッチンのカウンターの壁面や、場合によっては床面に設置するといいでしょう。スマホやタブレットの充電を想定するなら、本体が安全に置けるスペースまで考慮しておくと満足度が高まります。
2. 対面キッチンのダイニング側などに、収納やカウンターを設置

対面キッチンの場合、ダイニングテーブルの高さを考慮した収納や物を置くカウンターなどをつくると、ランチョンマットや卓上調味料、ボックスティッシュなど、家族全員がよく使うあれこれが整然とまとまって便利。置く場所をつくることで、テーブルのうえが散らかりにくくもなります。
家づくりでは得てして「キッチン」に力を入れてしまいがちですが、「ダイニング」も暮らしやすさに直結する重要な空間です。とにかく大切なのは「自分たちの暮らし方」を具体的にイメージすること。今の住まいや親族や友人宅、モデルハウスやオープンハウスなど、実際の家をできるだけたくさん見て、失敗や後悔の少ない家づくりを目指してくださいね。
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