新しい在来木造の標準高断熱構法

近年、在来木造住宅にもようやく耐火性能の規定ができました。2×4工法は簡易耐火構造として融資などで長らく優遇されてきたのですが、在来工法はそうではありませんでした。

私たちは、高断熱構法と気流止めを耐火性能上、有効なファイアーストップとして認めるよう国に要請し、2010年ようやく省令準耐火構造仕様として認められました。この仕様の基本である、壁内から天井裏に火が燃え広がらないようにするファイアーストップを設ける工法が、高断熱構法や気流止めと全く同じ働きをします。

この省令準耐火構造仕様で家を建てると竣工時の火災・地震保険料が5年で約20万円、30年間では100万円以上も安くなるので、急速に普及し始めています。プレカット工場もこの仕様でプレカットが可能になり、高断熱ボード気密工法の最後の障害が取り除かれました。図-3がその概要で、要点は次の通りです。

図-3 繊維系断熱材による新しい高断熱構法
図-3 繊維系断熱材による新しい高断熱構法

①外周壁は省令準耐火構造仕様の12㎜石膏ボードを桁まで張り上げる工法とする
②天井断熱と取り合う間仕切り壁上部は、省令準耐火構造仕様の45×105木材を入れる
③図のC部は、下がり壁を設け壁室内側には外壁と同様に石膏ボードを張る
④天井はPEシートが気密層となるため、厚いシートで連続して隙間が生じないようにする
⑤外壁下部の剛床との取り合い部はD部のように間柱受け材を流し、室内に張る石膏ボードが壁耐力面材になるように納める
⑥ボード面材耐力により、筋交いはできるだけ使わない

以上のポイントを守れば、初めての施工者でも容易に高断熱住宅をつくることができるのはもちろん、0.5~1.0㎠/㎡の気密性能(C値)も実現できます。不燃の断熱材であるグラスウールやロックウールを採用することで、在来木造の弱点である耐火性能の低さがカバーされ、断熱材の厚さを壁105㎜、天井200㎜とすれば、3地域以南の省エネ基準をクリアする構成となります。

私たちは、発泡断熱材の外張り工法や最近の低密度現場発泡ウレタンの壁充填吹き付け工法などのように、火災に弱い工法は、木造住宅には採用すべきではないと考えています。発泡断熱材にも燃焼性についていろいろな基準があり、最も燃えやすいウレタンや、燃えにくいとされるフェノール樹脂も火災時には結局全部燃えてしまい、しかも大火災を引き起こすことが知られています。省令準耐火構造仕様にするということは、より安全な住宅をつくることができるということです。