使いやすいキッチンの「奥行き」の最適解とは?
Replanが教える家づくりに必要な基本、あれこれ。
目次
- キッチンの「奥行き」の基本寸法とは?
- システムキッチンの奥行きは JIS(日本産業規格)規定で60㎝または65㎝
- 前面に壁があるキッチンは、60〜65㎝が主流
- フルフラットタイプは、80〜100㎝が多い
- 「対面式」と「壁付け」。 レイアウトで変わる「奥行き」の役割
- ■対面キッチン(ペニンシュラ・アイランド)の場合
- フルフラットなら、広々とした作業面を確保
- フルフラットは、水ハネ・油ハネに注意
- 「立ち上がり壁」の活用で機能性アップ
- ■壁付けキッチンの場合
- 「窓」「吊り戸棚」へのアクセスのしやすさを考慮
- 冷蔵庫の納まりに注意
- 長い目でみると、奥行きは「65㎝」がおすすめ
- プロが教える「失敗しないチェックポイント」
- 自分の料理の仕方や使う調理道具を振り返る
- 「ちょい置き」スペースを確保
- まとめ
キッチンの寸法を検討するとき、横幅や高さも大事ですが、作業のしやすさや収納力といった機能性を大きく左右する「奥行き」もとても重要です。キッチンは、単に料理をする「作業台」としてだけでなく、配膳をしたり、料理中に調理家電を使ったりするなど、さまざまな動作が行われる場所だからです。
そこでこの記事ではインテリアコーディネーターの本間純子さんに、「キッチンの奥行き」についての基本を解説していただきます。あなたのキッチンを、もっと快適で使いやすい空間にするヒントを見つけてください。

キッチンの「奥行き」の基本寸法とは?
システムキッチンの奥行きは
JIS(日本産業規格)規定で60㎝または65㎝
システムキッチン設備の寸法は「JIS(日本産業規格)」で定められています。JISの改正(2018年)により、フロアキャビネットの奥行きは「60㎝」または「65㎝」と規定されました(メーカーオリジナル寸法のキッチンもあります)。
建物も家具も住宅設備も、すべては「人体寸法が基準」です。ワークトップで前方に手が十分に届く範囲はおよそ50㎝ですから、JIS規格で奥行き60㎝・65㎝の規定があるのは、理にかなっているといえます。
システムキッチンは、フロアキャビネットの壁側から7〜10㎝、床から10㎝以上の空間に、給湯・給水管、排水管、ガス管、電気配線を収める「サービスゾーン」を設けることになっています。この規定により、配管配線スペースが昔に比べてコンパクトになりましたし、スライド金物の進化も手伝って、フロアキャビネットの収納力・使いやすさも格段に改善しました。

前面に壁があるキッチンは、60〜65㎝が主流
システムキッチンでも造作キッチンでも、壁付けキッチンや、前に立ち上がりの壁がある対面キッチンの場合の奥行きは、60〜65㎝が一般的です。「ワークトップ全面に手が届く」のはもちろん、壁付けの場合は
- 壁面を拭く作業が容易にできる
- 窓の開閉に不便がない(壁面に窓がある場合)
- 吊り戸棚の使い勝手に支障がない
といった点も、メンテナンスのしやすさや日常の使い勝手の観点から必須事項です。できればモデルハウスやショールームなどで、実際に手を伸ばして問題ないかを確認したいところです。
壁付けキッチンや、前に立ち上がりの壁がある対面キッチンの奥行きは60㎝・65㎝のどちらでも選択可能ですが、採用するビルトインの設備機器に違いがありますので注意しましょう。


フルフラットタイプは、80〜100㎝が多い
今や定番の「ペニンシュラ型」や、おしゃれでオープンな雰囲気が人気の「アイランド型」で見られる「フルフラットタイプ」は、奥行き65㎝のフロアキャビネットの上に、奥行き80〜100㎝の天板を置いたキッチンです。

前面に壁がない分、奥行きが深いので、対面側の天板下がオープンであればカウンターとして、奥行き15〜35㎝のキャビネットを組み込めば収納として活用できます。ペニンシュラ型は3方向から、アイランド型は4方向から使うキッチンといえます。

「対面式」と「壁付け」。
レイアウトで変わる「奥行き」の役割
キッチンの奥行きは、レイアウトが「対面式」か「壁付け」かによって、その役割やメリット・デメリットが大きく変わってきます。ご自身の使いやすさや計画しているレイアウトに合わせた奥行きの最適解を見つけましょう。
■対面キッチン(ペニンシュラ・アイランド)の場合
リビング・ダイニングとつながる対面キッチンは、奥行きを広げることで作業効率や多機能性を高めやすいのが特徴です。
フルフラットなら、広々とした作業面を確保

作業台とダイニング側のカウンターの高さが同じフルフラットタイプは、奥行きを十分に確保すれば作業面をより広く使えるメリットがあります。お皿やグラス、ボウルなどの置き場所の自由度が高く、作業効率が上がります。
フルフラットは、水ハネ・油ハネに注意

一方で立ち上がり壁がないため、シンクからの水ハネや油ハネ対策には特に注意が必要です。水ハネがダイニング側に飛び散らないようにするためには、奥行き80㎝以上を確保することが目安となります。また対策としては「水ハネを抑えられる水栓」が効果的です。ショールームなどで実物を見れますので、使って体験してみましょう。
油ハネ対策としては、各メーカーがガラス製のガードを用意しています。置き型のガードもありますが、きれい好きな方にはレンジフードと一体になったガードがおすすめです。ただしこれは後付けができませんので、慎重に検討しましょう。
「立ち上がり壁」の活用で機能性アップ

水ハネや手元を隠すための「目隠し壁(立ち上がり)」を設ける場合は、壁の上部の天板(カウンター)を調理器具やお皿の仮置きスペースとして使えます。またこの立ち上がり部分を活用してキッチン側、もしくはダイニング側にスパイスや日用品を置けるニッチを設けることもできます。

■壁付けキッチンの場合
目の前に窓やアイレベルの収納棚をつけることができるのが、壁付けキッチンの大きな特徴の一つ。それゆえに動線や手の届きやすさなどの機能に奥行きが大きく影響するため、より慎重な検討が必要です。
「窓」「吊り戸棚」へのアクセスのしやすさを考慮

窓の外の風景を見ながらキッチンに立つのは、なかなか気持ちがいいものですし、窓台でハーブなどの植物栽培もできます。ただ先にも少し触れましたが、奥行きを深くしすぎると、正面にある窓の開閉がしにくかったり、吊り戸棚の奥に手が届かなかったりして、日常の家事や掃除に支障をきたすことも。
広い作業面を優先して奥行きを深くする分、窓は思い切ってFIX窓にしてしまう。または窓の開閉頻度が高そうであれば、キッチンの奥行きを無理なく窓に手が届く寸法にするなど、普段、ご自身が重視することを振り返って優先順位をつけることが、後悔のない選択につながります。
冷蔵庫の納まりに注意

キッチンの並びに冷蔵庫を置くレイアウトの場合、キッチンの奥行きがありすぎると、冷蔵庫が奥に凹んでしまい、見た目や動線に影響が出る場合があります。奥行き65㎝のほうが、冷蔵庫と寸法が合わせやすいです。
長い目でみると、奥行きは「65㎝」がおすすめ

家の総面積が限られていて「作業スペースよりもダイニングや通路の広さを優先したい」という場合は、あえて奥行きを標準の65㎝から60㎝に変更するという選択肢もあります。
これについては、個人的には可能でしたら65㎝をおすすめします。理由は、「設備交換のしやすさ」です。キッチンにはガスコンロ・IHクッキングヒーター・食洗機などのビルトイン機器が組み込まれています。設備の寿命は家の耐用年数よりも短く、交換の時期がやってきます。
現状は、奥行き65㎝のほうがスタンダードなため、交換可能な機種も豊富です。長い目で見て何を優先するか、しっかり考えましょう。
プロが教える「失敗しないチェックポイント」
自分の料理の仕方や使う調理道具を振り返る

普段よく使う調理器具や調理家電(ハンドミキサーやケトルなど)の寸法や、どのように使っているかを一度チェックしましょう。
- どの位置にあるのが使いやすいか
- 普段使っていて不便を感じていることがないか
- 作業中に狭さや使いにくさを感じているところがあるか
など、改めて意識して振り返り、しっかりメモしておきます。
「ちょい置き」スペースを確保

味見用の小皿や切った食材、次の工程で使う調味料など、わざわざ何かを除けてスペースを作らなくても「ちょい置き」ができる余白があるととても便利。この便利さは心の余裕を生んで作業効率を上げてくれるので、新居でのキッチン計画では、ぜひ「ちょい置き」スペースもイメージしてみてください。
まとめ
キッチンの使いやすさは、個人差が大きいものです。「標準だから」「〇〇が好評です」という説明や売り文句を真に受けずに、まずは自分の調理スタイルを振り返ってみましょう。

今持っている調理家電などで登場頻度が少ないものがあるなら、それは使いやすい環境が整っていないせいかもしれません。キッチンはレイアウトをはじめ、色・デザイン・幅・高さ・収納など、検討項目がたくさんありますが、「奥行き」についても自分の物差しで考え、料理がしやすい環境を整えることが満足度の高いキッチンにつながります。自分ファーストでまいりましょう!
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