車のシェアで台数を少なく

また、車の燃料コスト「ガソリン代」もバカになりません。最近では一家に1台どころか、1人に1台も珍しくありませんが、利便性を求めすぎると、ガソリン代だけでなく車両代や保険代を含めたトータルの負担が大きくなりすぎます。せっかくの敷地の多くを、駐車場で埋め尽くされるのもうまくありません。二世帯で工夫すれば、人数あたりの必要台数を大きく減らすことが可能です。省エネ・省コストの観点から、家だけでなく車の共有をよく話し合うことも重要です。

照明・家電、給湯がエネルギーをたくさん使う

この連載でも繰り返しお話ししてきましたが、住宅でエネルギーを多く使っているのは、「照明・家電」や「給湯」といった、年間を通して使われる用途のものです。図5は環境省が調査した用途別のCO2排出量ですが、おおむねエネルギー消費と比例していると考えられます。この結果からも、「照明・家電」や「給湯」のCO2排出量が大きく、省エネの重要性がわかります。一方で、暖房や冷房は現状では少ないですが、先のように「いつでもどこでも」快適な室内環境を目指した場合は、エネルギー消費も当然ながら増加します。大空間の二世帯住宅こそ、断熱・気密や日射遮蔽を徹底することが求められます。

図5 用途別のCO2排出量 戸建住宅と集合住宅
環境省の統計では用途別の水道光熱費は示されていないので、代わりに用途別のCO2排出量のグラフを示しました。給湯は人数なりに増加するので、大人数世帯では特に注意が必要です。照明・家電は特に戸建住宅で大きくなっており、床面積が広い家では照明の省エネも重要です。暖房・冷房は現状では少なくなっていますが、これは現在の使い方が部分間欠だからです。健康・快適のために空調場所・時間が今後増加していくことを予想して、先手の省エネが大事です。
出展:環境省 家庭部門のCO2排出実態統計調査(全国平均)

二世帯住宅こそ省エネ徹底で快適な共住を

二世帯住宅においても、省エネの基本は戸建住宅と変わりません。建物の断熱・気密をしっかり確保した上で、高効率な設備を導入することです。暖冷房や照明のオン・オフでお互いイライラせず、健康・快適で明るい暮らしをみんなが気兼ねなく楽しむためには、建物性能や設備の効率向上は特に重要といえるでしょう。給湯消費量を減らす節湯は、上下水道代の削減にもつながり、特にコスパがよいのでおススメです。また、太陽光発電を屋根に載せることも重要です。エネルギーコストを実質ゼロにできますから、我慢せずに快適な生活を楽しめます。

二世帯住宅は上手に設計すれば、共住のメリットを活かして健康・快適な暮らしをリーズナブルに送ることが可能です。家族みんなでよく話し合って、楽しい暮らしをしっかり実現したいものですね!


最初のページへ戻る

【バックナンバー】
vol.001/断熱・気密の次の注目ポイント!蓄熱大研究
vol.002/暖房の歴史と科学
vol.003/太陽エネルギー活用、そのファイナルアンサーは?
vol.004/「湯水のごとく」なんてとんでもない!給湯こそ省エネ・健康のカギ
vol.005/私たちの家のミライ
vol.006/窓の進化
vol.007/断熱・気密はなぜ必要なのか?
vol.008/冬のいごこちを考える
vol.009/電力自由化! 電気の歴史を振り返ってみよう
vol.010/ゼロ・エネルギー住宅ZEHってすごい家?
vol.011/冷房を真面目に考えよう
vol.012/ゼロ・エネルギーハウスをもう一度考える
vol.013/冬の快適性を図る指標「PMV」を理解しよう!
vol.014/エネルギーと光熱費最新事情
vol.015/夏を涼しく暮らすコツを考えよう
vol.016/冬の乾燥感
vol.017/採暖をもう一度科学する
vol.018/ゼロエネルギー住宅ZEH、本格普及へ
vol.019/夏の快適性をエリアで考える
vol.020/Wh(ワットアワー)とW(ワット)で考える非常時のエネルギー
vol.021/窓こそ省エネ・快適の最重要パーツ
vol.022/職住近接は地球にも人生にも優しい
vol.023/未来の気候に備えた敷地選びと家づくり
vol.024/日当たりを考えた敷地と建物
vol.025/健康・快適なリフォームの3つのポイント
vol.026/在宅勤務の普及で家づくりが変わる!
vol.027/二世帯住宅とエネルギーの関係

※この記事の最新話はReplan北海道&東北の本誌でチェック!
バックナンバーは下記URLでご覧になれます↓
http://web.replan.ne.jp/content/bookcart/